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奇跡など、決して。

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闇をはらんだ作品をまとめていた私のiPhoneのメモフォルダ「奇跡など、決して。」より作品を公開していきます。 書き溜めていた作品や過去にtwitterにアップした作品も含みます。
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記事一覧

ハウリング

小さな都会の小さな社会に閉じ込められて
僕の叫びは僕の中で不協和音になった
ハウリングで頭が割れそうだ
がんばれ、がんばれ、がんばれ。
脳内の音声が充満している。
こんなこともできなくて
お前はろくでなしだ
毒親の洗脳音声がおろしたてのレコードを摩耗させる
壊れるほど努力しても
摩耗するほど狂信しても
誰も認めてくれないものだから堪えかねて
私はあの街を捨てて知らない場所へ旅に出た
それしか道がな

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哀色の炎

はめた手袋を投げ捨ててキミの頬に触れた。
あの日語り合ったようにその目を開けて
その脳裏に焼き付いた情景を語り合えたならば
今からでもキミの生命に触れられるだろうか。
いつ明けるとも知らない夜に生きたキミの叫び声が遠鳴りに聞こえた気がして左胸が騒がしい。
幻でもいいから会いたくて仕立て上げたキミの幻影に心を癒された。
来る日も夢で別れを繰り返す無情さを表す単位を僕はまだ知らないけれど
君を消化させ

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empty

悲しい記憶は昨日雨に溶けて流れ落ち、今は清々しい風だけ吹いている。

昨日言えなかったことを言おうと電車の待ち時間。まだ息も白い3月の空気をも忘れるほど頬を熱くして貴方の電話を待っていた。
ラッシュアワーのサラリーマンに紛れた卒業式の3日前。貴方がくれた言葉で泣きそうになるよ。あの日恋を知って、私のひとりぼっちの世界に陽が差して、空へ想いを馳せた。空と空で繋がっているだなんて、貴方が告げたもの

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白の創造主

さみしいという言葉を空で繋がっていると例えたら
それは雲より儚い存在になってしまった。

始発の駅舎にただ一人
世界よどうか動き出さないで
終わりがないなら永遠に会えなくても構わない

いかないで、いかないで
馳せど、想えど、引き裂いた
プラットホームに響きわたるサイレン

仙石線のホームの風に吹かれ
少し涙が零れた
雪の記憶が鮮明で
僕はその理由を知らぬまま

あの日の愛を思い出

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回線上のryo

どうして生きているのか
昨日はあんなに錯乱して
こんな日も今日でおさらばだと
遺書をしたためた
かさばってゆく記憶に阻まれて
今日も死ねなかったけれども。
部屋の片隅でほこりをかぶった
大きなハードディスク
この手で初期化出来ないハードディスク
私の人生に奇跡など、決してないけれど
咲いたばかりの花を蹴散らされた
あの子の遣る瀬無さを
ひたむきに信じ続けたあの子の勇気を
消させはしない。無碍になど

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ぽんこつな宇宙

涙で歪んだ世界に、貴方の影が消えた。あの日の悲しみは風が遥か遠くへ連れていった。
人は誰もが内に炎を秘めているから、孤独な時に身を寄せ合い、凍てつく夜は体温を分け合う力を識っている。深く傷つき動けないときは手を当てて、まだ生きているよと教え合い、共に峠を越えよう。
手札を見せ合うように痛みを分かりあうことはないけれど、心を震わせて共鳴しよう。溢れそうなほどの不幸を抱えたとしても、目の前が果てしない

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オリオン座

そらごとつむぎ

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超新星

そらごとつむぎ

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虚像

そらごとつむぎ

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超新星

切り取られた世界だとしてもこの目に映ったことは
変えようもない事実だった。
この世界が闇に飲まれるのが先か
この瞳が奪われるのが先か
分かりきった答えをキミと見に行こうと決めた
あの子が此処に存在した証すら忘れて
僕はこの場所に存在している
泣いて、喚いて、そして悟った
眩しくて、無情な朝を
激情を動力に走り抜けろ
死に抗う術を誰も知らないから
なけなしの鼓動を切り刻み
キミの視界を奪う暗がりを打

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オリオン座

ネイビーブルーのドレープカーテンの隙間から
不釣り合いなほどの輝きが眼に映った
あの星は私をどれほど識っているのだろう
月夜の晩に誘って欲しい場所は
肉体を捨ててしか行けない場所だということを
知ってか知らずかあの星は
この街の人々に等しく微笑みかけている

虚像

あの人へ投げかけたそらごとで
僕は永遠に文字を紡いでいる
まじないが消えることはないけれど
いつかは偽りを超えるほどの真実で溢れて欲しい
狂うことでしか成せなかった僕の言霊は
いま君の知らない世界で息づいているよ

カルト

カルト
落つる涙を纏ったならば
その数だけあの子は美しくなれるだろうか
流しすぎて涙はとうに枯れ果てて
あの子の心は鋭くなった
冷たい風に晒されても
まだあの部屋の主からの愛を欲していた
憎んではいけないと言い聞かせ
押入れの前の一畳もない空間で許しを乞う
あの子の盲信していた主は決して愛を与えはしないけれど
いつか愛される日が来ると信じていた