民泊の朝食

 海が見たくて小旅行へ
遅めに着いたので夕陽で赤らむ海を見てそのまま帰るのも悪くないが帰るのが億劫なので飛び入りで民泊へ泊ることにした
飛び入りだが快く女将が受け入れてくれて助かった。流石に夕飯は出ないが、朝食は出してくれるという事なので朝食を楽しみにしよう
普通の家よりも少し大きめの風呂に浸かり、用意された浴衣を着、小さいながら綺麗な個室で寝る、着ていた服は洗って乾燥機までかけてくれるらしい。嬉しい

 朝、さざ波の音で目覚める。そうだ、民泊に泊ったのだった
今は朝6時45分いつもなら寝てる時間だがいつもより目覚めが良い
朝食は7時30分。着替えは部屋の外にキレイに畳まれて籠の中に納まっている
着替えるか…と思ったが朝食を食べるまではこの旅行気分を楽しもう
畳張りの居間に通され、食事を摂る
茶碗に盛られた白米に豆腐とねぎの味噌汁、主菜として鯖の塩焼き
副菜としてほうれん草のお浸しに人参牛蒡のきんぴら、小さい納豆にカリカリの梅と小袋に入った味付け海苔、お茶
普段粗雑な朝食しか食べてない自分にとっては豪勢な朝食だ…感謝して食べよう
梅を一口、しょっぱさに唾液が溢れまだ眠っていた食欲が湧いてきた
さぁさどれから手を付けようか迷い箸…やはり鯖からだな。海が近いからか普段定食屋で食べるものよりも美味しく感じる…この一口で茶碗の飯を全部食べれそうだ。おひつも出してくれているから遠慮せずに米を平らげよう。この食卓は全て米を美味く食べる為の物しかない
ほうれん草のお浸しはしっかりかつお節でとった出汁の味がする、きんぴらの滋味、納豆の香ばしさ、梅の塩味に香り、海苔のパリパリ感と甘じょっぱさ、そして全てを洗い流しながらも余韻を楽しませてくれるお茶…
こんな世界が有ったのか、民泊という世界
このまま民泊の子になりたいと思ったが、今自分が外から来た異邦人だからそう思うだけだろう。
さぁ飯を食べ終えたら普段の世界に戻ろうまた会う異世界に合う為に


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?