はじめに

日常的に日本語で文章を書かなくなってかれこれ10年くらいになる。特にこの3年は日本に帰っていなくて、益々日本語離れが進んでしまった。

次会う機会の目処が立たなさ過ぎて、日本にいる友達との繋がりも薄くなり、気がついたら本当に日本語が話しにくくなっていた。日々を日記で顧みるという習慣からも離れてしまい、「忙」という漢字の通り、「心」の芯を「亡く」しつつあったと思う。

新型コロナで何もかもがキャンセルになった去年から今年、そういう意味では、私にとって「自分への回帰」へのまたとない機会をいただいたと思っている。アメリカでのBlack Lives Matterプロテストのエネルギーを肌で感じ、アメリカでは有色人種としてマイノリティに属する自分、日本ではマジョリティの一員である自分、アジアで唯一帝国主義の歴史を持つ日本国民としての自分、西洋音楽を自分の音楽とするアジア人の自分、といった色々な自分の所属の層をどのように捉えたらいいのか、改めて聞き、読み、話し、感じ、考えている。

アメリカで、アメリカ人の友達と、英語のみで暮らす10年間、意図せずながら、それまでの経験とは違った次元で、日本と距離を置くことになった。結果、今自分はどこにいるのか定かでないが、だからこそ今まで思いもよらなかった自分の先入観や偏見と直面することになったし、日本で育ってきた時には想像の最果てでも見えなかった、日本で常識として持ってきた世界観の限りを今はヒリヒリと感じている。

このブログを始めようと思ったのは、こういう文脈の中である。10年間英語で組み立てかけてきた新たな世界観(それ以前の自分から見ると完全にアウェイな世界観)を持って、改めて日本語を持って自分の言葉を取り戻して行きたいと思っている。ギシギシとぎこちないが、仕方がないと思って少しずつ書いていきたい。

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