はじめに2 音楽の「よろこび」

最初に「はじめに」という記事を書いてから2年半以上経ってしまったので、書き直し。あっという間というより、あれから10年くらい経ったような気もするくらい、世界も自分の周りの環境も自分の考え方もかなり変化した。

2021年の春に音楽博士課程(日本だと後期過程?)を終えて、学生ビザが使えなくなったのでO1ビザ(通称アーティストビザ)という就労ビザを取り、アメリカで演奏家、リベラルアーツ大学でのピアノ講師、それから分野横断型のコミュニティとの協働プロジェクトをすることで生計を立ててきた。博士課程やそれに至るまでの教育機関で自分が学びたいと思って培ってきた知識や技術が活かせて、楽しい。演奏は特に、弾いてる音楽への理解や自分の表現力などが日に日に深まっていくのが感じられて、深い喜びがある。
(コミュニティとの協働プロジェクトについては、また別記)

ただ、私はピアニストとして生きていきたいという思いよりも、音楽を作る過程で時々出会える、とても深い「よろこび」の経験を、もっと多くの人に知ってほしいという思いの方が強い。
確かに、音楽創作過程のよろこびを多くの人に知ってほしいという目標を達成するには、ピアニストであるというのは一つの手段になり得るかもしれない。が、少なくとも、今までのように呼ばれたところに演奏に行って、ある程度自分オススメの曲目を演奏しながら言葉で思いを語る、というだけでは、観客層の幅にしても、お客さんの経験の幅としてもごく限られたものになってしまう。
もっと多くの人に、もっと深い「よろこび」を感じて、そこから何らかの自由を感じてほしい。

この時の「よろこび」とは、音楽という世界の中で、その世界を成り立たせている要素、例えば音そのものや、一緒にその音楽を作っている人、などと、瞬間的に感じる一体感のことだと思う。この一体感には、普段到底感じることのない無尽蔵な深さがある。宇宙の奥深さや世界の果てしない可能性といった言葉がちょうどいいほど、深い。(!)

音楽が生み出すこの深い喜びには、とてつもない大きな力があって、それはきっと今多くの人に認知されているよりももっと果てしない可能性を秘めているという思いがある。もともと、私が音楽専攻の学生になろうと思ったのは、この可能性を垣間見たから。演奏が上手になるというより、練習している曲の向こう側には何があるんだろうと追求したくなったのが始まり。
個人的には、自由の感覚、創造へのエネルギー、世界との一体感、が今のところキーワード。
なので、音楽の力をさらに自由に使えるようにもっと音楽家としての実力をつけて、今あげた三つのキーワードをモデリングするような活動を広げていきたい。

noteでは、音楽家としての実力をつけたり、コミュニティ協働も含め色々な活動に向けて勉強したり考えたりした・していることを、過程も含めてそのまま記していきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?