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喫茶店の人 #2 【コーヒーハウスモカ】 秋田加代子さん

1974(昭和49)年創業。大阪市西区阿波座のオフィスビル地下にある小さな喫茶店「コーヒーハウスモカ」。

店主の秋田謙吾さん(76才)と加代子さん(74才)はご兄妹。
謙吾さんの病気のため、2022年12月末に閉店することが決まった。幸い後継者が見つかり内装はそのまま引き継がれるが、「コーヒーハウスモカ」としての歴史は終了。

私のブログを応援してくださっていた数少ない「喫茶店の人」である、ママの加代子さんに話を聞いた。

コーヒーハウスモカ


大阪生まれの大阪育ちです。ずっと城東区に住んでいて、結婚した時に服部緑地の文化住宅に引っ越しました。23才で結婚したんやけど24才のときに夫が自分の運転する自動車事故で亡くなったんです。

結婚した当初は共働きでした。赤ちゃんができるまでお金を貯めようと天満の司法書士事務所に1年間だけ勤めてたんやけど、仕事を辞めて専業主婦になった1か月後に夫を亡くしてん。間が悪かったね。
それからはずっと1人。相手が現れへんから再婚もできへん(笑)

夫が亡くなった1年後に友達がオーナーをしていたモカを手伝い始めて、妊娠した友達からモカを引き継いで、しばらくは私とバイトの子だけでやってました。

店主の秋田謙吾さんと加代子さん

会社勤めを辞めた兄が店を手伝いするようになったのは、オープンから1年後。兄はもともと店をやりたかったみたい。本当は喫茶店ではなくサラダ屋さんをしたかったんやって(笑)

お客さんから「ご夫婦ですか」って聞かれたら「うん」って言ってました。母が病気になるまでは、1日中一緒でしたよ。朝も一緒に来て一緒に帰ってたから、そらね、みんな夫婦やと思うわ。兄ちゃんは縁がなくてずっと独身。お互いに潰し合いしたなってよく言われた。

仲がいい兄妹って言われるけど、後ろ向いたら喧嘩してましたよ(笑)

華道未生流の先生でもある加代子さん。喫茶店内でいけばな教室を開いていた

モカが忙しかったのは、開店した昭和49年から数年くらいやね。お客さんが1日に100人来てた。
他の店が食事を出していたから、メニューは飲み物とトーストとサンドウィッチだけ。あの頃は朝はモーニングから満席で昼も満席で、相席してもらわなあかんという状態がずっと続いてましたもんね。朝から晩まで、朝8時から夜8時まで忙しかったですよ。

バブルが弾けてからはどんどん暇になったけど、ぼちぼち稼げたら良かったから辞めようとは思わなかったね。時々赤字になることはありますけど、時々やったらええやん言うてね。

会社を定年退職した兄ちゃんの友達から「もう70過ぎたんやから、辞めたらいいやん」って言われたことあったなぁ。年齢的にはもうみんな辞めるでって。でも私も兄ちゃんも辞める気はなかってん。

昨年の秋頃に兄ちゃんの足の調子が悪くなって。6月に入院して半年ぐらいかかるって言われて今で5ヶ月です。7月の時点では続ける気やったんです。手術終わって治療をして、8月になってまだあかんみたいでもっぺん入院したんですよ。一旦退院して、再入院して、手術になって、もうこらあかん、辞めるって兄が決めたんです。家の中でも松葉杖が必要みたいやから、店を続けるのは無理やろうって。難しい病気みたい。


モカの後継者、高地龍之介くん

後継者が見つかったことは兄ちゃんに伝えました。高地さんから貰ったプレゼン資料(開業計画)をコピーして渡したら、「この人がしてくれはったらいいのにな」って。
喫茶店をやるには難しい時代やから積極的には勧めへんけど、してくれはったら嬉しいなぁ言うてました。

みんなの大事な時間をモカのために費やしていただきまして、本当にありがとうございました。


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