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喫茶店の人

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喫茶店にまつわる人へのインタビュー
運営しているクリエイター

#コーヒー

喫茶店の人 #6 【珈琲ん】 海老原正毅さん

「“珈琲ん”とのファーストコンタクトは小学生くらいの頃ちゃうかな。トアロード時代の“珈琲ん”は、家族で大丸に買い物に行った帰りに寄ってた。両親ともにクラシカルな雰囲気が気に入っていて、自然と家族連れ立って行くようになってたね」 大人になってからも、家族で喫茶店に行く習慣があったという。そのうちのひとつが夙川の“珈琲ん”だった。 「実家が仁川にあるので、いかりスーパーに行くついでに家族揃って夙川の“珈琲ん”に寄ってた。店名が同じ、コーヒー1杯490円で500円を出したらピカ

喫茶店の人 #4 【鎗屋町喫茶室 街の灯り】 藤本由美さん

黄昏時を過ぎると、ひときわ目立つ灯り。 人々を照らす灯りは、安らぎの象徴だ。 藤本由美さん(58歳)が母親とともに喫茶店「more」を営んでいたのは40年前。喫茶店の出店が最盛期を迎えた70年後半〜80年初頭は喫茶店黄金時代だ。専門店のようにコーヒーの種類が多かったこともあり、店は繁盛した。 「母は百貨店内の喫茶店の店長をしながら、いつか自分で店をやろうって計画してたみたい。私はアパレル系の会社で働いてたんだけど母の手伝いをするために辞めました。喫茶店に行かないとコーヒー

喫茶店の人 #3 【珈琲ん】 Sさん

“珈琲ん”の創業者は旧満州国生まれのSさん(87歳)。 物心がつく前に満州鉄道に勤めていた両親を亡くし、天涯孤独になった。日本に引き揚げたものの、知り合いの間をたらい回しにされながら育ってきた。身寄りのないSさんを引き取ってくれたのが神戸の人だったので、神戸には恩と思い入れがある。 「自分で学費を払いながら香川大学を卒業した後に、ドイツとの関わりが深い徳島高等工業学校(旧制専門学校)に行きました。その学校の関係でドイツの客船“オイローパ”に乗務員として就職。船内の調理を担