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インターン彩夏 2023.10.2

9月15日~9月21日の一週間インターンに来ていました、彩夏です。
インターンを終えてつくばに帰ってきて一週間と少しが経ちました。サークル・バイト・学生自主研究誌の中間発表会など、いつも通りの忙しない日々が戻ってきたという感じがします。大学の夏季休暇も今日で最終日を迎え、明日からまた授業が始まって忙しくなるのだろうなと考えながら、夏休みの締めとしてこの日記を書くのだと思い起こし、眠たげな昼下がりにパソコンを開いてカタカタと文章を綴っているところです。そこはかとなく書き記した回想日記となりますが、お時間ある方はお付き合いくださると幸いです。

インターン初日、天候はご機嫌斜め。そんな中、スーツケース、リュックとショルダーバッグ、そして傘という大荷物を携えて谷保に降り立ったときのことは今でも覚えています。谷保駅前の本の心ポストに心浮き立たせて、どきどき周囲をうろうろしているとちょうどポストの前に自転車が停まって本を投函していくところを目撃してにこにこしたり、知らない街の初めて見る光景に不審者さながらの挙動をしていたあの時の私はとても初々しかったように思います。

初めて乗る路線の電車。初めて降り立った街。そこで初めて見る光景。
初めてだらけの世界を見て、それから初めましての扉の前で、お店の中をちらとうかがいながら暫くうろうろする。

そうしていると、私に気づいたスタッフのりささんが中から顔を出してくださって、店内にやさしく招き入れてくださいました。
初日は店主のかよさんが夕方まで不在だったためりささんとの出会いから始まった、たった一週間のインターン。

ひとつずつ書いていたらまた文章が長くなってしまいそうなので、今日はちょっとした振り返りと所感を。
小鳥書房ではたくさんの「はじめて」を経験させていただきました。

・本屋さんでアイスティーを淹れること。コーヒー豆をごりごり挽くと店内にコーヒーの香りが満ちていくしあわせ。
・本を選んで、ホームページに載せる文章を考えること。誰かに紹介する文章を書くには、ひとりよがりではなく誰かに伝わる文章を書かなければいけない。自分のよく知らない本の紹介は、どんな文章を書けばいいのかはじめは見当もつかなくて、思いのほか時間がかかってしまった。
・本屋さんでお味噌汁をいただいたこと。四種類の具が用意してあって、自分の裁量で具を加えていく。本屋さんで味噌汁を飲むのは初めての体験で、少し不思議な感じがした。本当はおにぎりも用意したかったらしいのだけど、いろいろ厳しくてやめてしまったらしい。本屋さんに炊飯器まであっては本当に謎だなあと思うなど。
・閉店後の夜の店内、天井裏でネズミの走る音がする。
・仕事終わりの梅酒がこんなにおいしいとは。
・取材の見学、話の主導権を握るのか握らせてしまうのかの駆け引き。相手に心地よく話してもらうにはどうすればいいのかを考えるのが重要。
・編集者の仕事の話、一つの本を作る裏側にどれだけの工程が、人々が必要であるのか。
・御朱印ならぬ御書印を押すこと。誰かの本屋さん巡りの旅の一ページに私の押した印と筆の跡が残されて、また見返される時が来るのかと思うと失敗できないなと緊張する。
・ポップをつくること。文章が多すぎないように、誰かの目にとまりやすいように。制限のないホームページの紹介文よりも、スペースの限られた小さい紙の中に伝えたいことをぎゅっと凝縮して書かなければいけなくて悩むけれど、ホームページの文章とは違う自由さもある。イラストをかくこともできる、色鉛筆も使える、文字のレイアウトも自由。一週間のインターンではポップを二枚書かせていただきました、店内に飾っておりますのでぜひご覧ください!(そのうちの一枚は今回あげている写真のものです。ポップのかきてとして、この画集の一部になれたらなというコンセプトでかかせていただきました。)

小鳥書房で経験させていただいたことはほかにもたくさんあるのですがやはりなによりも印象的で私に影響を与えてくれたのは、小鳥書房が運んでくれたご縁ではないかと思います。小鳥書房を営む人々と、みなそれぞれが違う肩書を持ちながらひとところに集まってくる、というよりは帰ってくるような一家団欒の安心感。この小さい街の中で活動する人々、外から訪れてくる私のような異邦人。絶えずさまざまな人生の時間と意識が絡まりあって、新たな物語が紡がれ巡っていく場所。それが小鳥書房。

普段大学とその周辺で過ごしているだけでは決して得られないこと。自分から飛び出していかないと出会うこともなかったであろう人々と空間。小鳥書房から離れた今も、度々SNSに投稿される小鳥書房の日常を目にしながら、遠く離れた絵本の世界のようなあの本屋さんでは、私が去った後も変わらず創造的でゆったりとした時間が流れているんだなと想いを馳せることがよくあります。数年前、一人の人間の想いが起点となって始まった小さな本屋さんはいつしか誰かの居場所となって、連綿と今日までその物語が続いている。

進路選択に迫られる時期が近づいてきて、進むべき道に迷って、何もかもわからなくなって、自分らしい言葉も紡げない、自分の軸を見失いつつある頃に小鳥書房を訪れることができてよかったと心から思っています。店主のかよさんはじめ、常連のお客さんなどさまざまな人と言葉を交わすうちに、自分がどうあるべきなのか、どうありたいのか、まだ少し迷いはありますが、その軸たるものは少しずつ見えてきた気がします。

一週間という短い時間でしたが、刺激的で貴重な日々をありがとうございました。またいつかきっと谷保の街を訪れに来ます。ふたたび小鳥書房の扉をたたいて、新しい物語を運んでくる一羽の鳥になれる日が来ることを祈って…。



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