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2月14日

バレンタインデー、いつまで手作りを楽しんでいたっけな。小学生のころは友達とチョコを交換していた。自分で作るのは好きだったけど、溶かして固めただけのチョコをもらうのは、あまり好きじゃなかったな。


私は死をはじめて意識した日のことをよく覚えている。小学校にあがる前のある日だった。死んだらどうなるんだろう…全部なくなるのか。見えている世界が見えなくなって、私という存在そのものが消えてなくなる…何も残らない、と悟った。

怖くてその日は眠れなかった。消えてなくなってしまうとは、どういうことかについて、一晩中考えていた。

ジブリの作品「思い出のマーニー」のテーマソング、プリシラ・アーンさんの歌う「Fine on the Outside」という曲が好き。歌詞のなかに次のような言葉がある。

Would you cry if  I died, would you remember my face ?

私が死んだら、あなたは泣いてくれる? 私の顔、覚えていてくれる?

この歌詞を聞くと死ぬことは怖くて悲しいことなんだと、ちゃんと思える。私は普段、あんまり死ぬことを怖いと思えない。日々を一生懸命に生きているけれど、いつも夢見ているような気持ちで生きているからだろうか。人生のあれこれの出来事、これは全部長い夢かもしれないと、何度も思いながら生きてきた。未だに覚めていないだけかもしれない。

大切な人が死ぬことを想像したら、胸が張り裂けそうに悲しい。でも、自分はどうかな?私が死んだら、世界はどうなるの?世界は、私を知っている人たちは、少しは悲しんでくれるだろうか?

あと2ヶ月で死にますよ、と言われたら私はなにをしたいかな。会いたい人に会いに行って、ありがとうと言えたらいいな。そして、それさえ済めばあとはいつものように本屋さんでバイトしたいな。

本当に死ぬんだろうか?そうか、死ぬのか。と思いながら、時々悲しくなりながら、時々そのことを忘れたりしながら、いつも通りに過ごしたい。

もし突然死ぬとしたら、事故や銃で撃たれるのはいやだな。血がでたら汚いもの。お正月にお餅をのどに詰まらせて死んじゃったらいいな。

「エチカちゃん、慌てて食べて死んじゃった。よく噛めばよかったのに、馬鹿だね。お餅美味しかったかな? 死ぬなんて、実はすごく、あっけない事だね」

と言われて、死にたい。残された人に、自分の死で笑ってもらえたらいいなと思う。

病気で苦しみながら死ぬとき、場所は病院でもいいけれど、最後に九州の甘いお味のきつねうどんが食べたいな。でも、食べられなかったら、別にいいや。

結局欲張らず、大好きな人たちの幸せだけ願って死んでいくと思う。

そんな2月14日。

エチカ

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