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名前と遺伝子


・名前の候補

「名前の候補、何かいいのある?」

思春期真っただ中の子ども(同性)と一緒に風呂に入った時の話。
最近気になり始めた、マイカレイシュー(体調悪いと途端に香り出す)を
落とすべく必死に泡で全身を洗っていたら、湯舟にいる子どもから
いきなりの質問だ。

え??  
な、名前? 
誰の?
どうした?
・・・・・まさか?!

「〇〇ちゃんのクラス担任の、2人目の子の名前」

あー 
おかぁは、びっくらこいたよぉ。あぁ、びっくりした。
けど、ずいぶんとまぁ知り合いっていうより
遠い人の赤ちゃんのことだねぇ。

・恐るべし遺伝子!

子どもが話を始めたり質問を投げかけてくる時、いつも言葉が足りない。
主語なしが多い。
主語がなく突然始まり、主語が誰を指しているのか分からないまま違う
話題に突然ワープ(きっと脳内マジカルバナナしてる)
するから、結局誰のなんの話だったか追いつけなくなる。
私の脳は非常に疲労する。疲労困憊だ。
不惑をとうにすぎた脳には厳しい。

まぁ、でも私の話し方そっくりなのだ・・・。

おそるべし、遺伝子! そして生育環境の賜物。
夫の要素の方が断然社会で生き延びるにはよかろうに、ばっちり私の要素が娘に根付いてしまっている。

・漢字一文字

話は戻って、私はお顔を知らない先生の、第2子の名前候補のこと。
どうやら先生には、名付けのこだわりがあることが分かった。
・漢字一文字
きっぱりとした意思・こだわりを感じる。
先生自身(男性)も一文字のお名前の持ち主なのだそうだ。
その一文字で、確かにそのように読みますね~!!と唸るお名前だった。

漢字一文字の子ども(男子)の名前ねぇ、
ところでどうしてあなたが考えてるの??疑問が生じつつも
脳内の名前の記憶箱にワープして瞬時にはじき出した、
一文字の名前を口にした。

「源」

・恋と愛

私の推しの、尊いお名前。
「源」
見事なお名前でしょ!
ほら、漢字一文字!!
もうぴったりじゃない!!!

口に出したら嬉しくなってしまい、顔がにやけた。
名前を呼ぶだけで笑顔になれるって、どんだけ尊いのだ!

その顔を見て
「言ってくるだろうなぁって思ってたよ」
子どもは苦笑いを浮かべ湯舟から立ち上がり、そのまま浴室を出ていった。バッチリ予測されていた。

え?じゃぁ、聞かなくてよくない??

モヤモヤしつつ私も浴室から出て、夕飯の豚汁を作るため野菜を刻んだ。
刻みながら他の名前候補を考えるも
「源」が頭の中で輝きすぎて、それ以外の一文字が全く浮かばない。
もうこうなったら歌うしかない。
「恋」を熱唱しながら、ひたすら野菜を刻んだ。
おかげで具だくさん豚汁が完成。
そこへ夫が帰宅。

夕飯が終わり、夫へ風呂での会話を報告する。
「源以外の、漢字一文字の名前、なんかいいのないかなぁ」
ゲームをしている夫へ投げかけると即答で、

「〇」  ←ある漢字一文字が入る

夫が自らの、漢字一文字な名前を言い放つ。

そうだよ!!!!!!!!!!!!!!
夫も一文字だっだじゃん!!
やっちまった!!!
こんなに近くにいたのに!!!!!!!
推しに「恋」して現を抜かしていたら
最大の推し、いや「愛」である夫の名前を失念するという大失態。
もうなんとお詫びしてよいのやら、頭の中は大パニック。
お詫びの言葉を一生懸命に考える。
だけど、いつもの脳内マジカルバナナが始まってしまう。

「つつしんでお詫び申し上げます」って伝えるべきだよね

そういえば、つつしんでの漢字はどう書くんだっけ?

「慎」「謹」どっち??

あぁ、これも漢字一文字だぁ~!

名前に使うとしたら、なんて読ませる??

と脳内が違う話題に次々にワープして、結局あやまるタイミングを逃す。
夫は特に気にする様子もなく、ゲームを続けていた。

推しのお名前も良いけど、夫の名前はもちろん良い、好きだ!
愛してる!
人格も名前も

ゲームをしている背中へ、そっと叫んだ(心の中で)。

ところで、先生のお子さんの名前は
どうなったのだろうか。
良きお名前がつきますように。


子どもよ、主語を明確にした報告を待つ。

いつかの推し活。私の元気の源。














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