映画「スターウォーズ7 フォースの覚醒」感想

 スペオペ好きの小生もご多分に漏れず旧三部作、新三部作とも二回は通して視聴し、さらにザ・ピープル・バーサス・ジョージ・ルーカスを神妙な顔つきで鑑賞してから劇場へと足を運んだ次第であるッ! 新スター・トレック派の小生としては、パトリック・スチュアートが出演していないことが残念だったくらいで、旧作の構成を模しながら少しずつ位相をズラし、ついには全く違う場所にたどりつきそうな展開にワクワクさせられた。

 あれっ、以前もなんか同じような感想を抱いて興奮したのに、手ひどく裏切られた経験があったなー、なんだったかなーと思ってたら、エヴァの序と破だった。大胆に予想しておくならば、新たなシリーズはカイロ・レンのライトサイドへの転向がひとつの焦点になるように思う。なぜなら、未熟さと育ちの良さを感じさせるこのキャラクターの造形は、ISISに身を投じる英米の若者の迷いを投影しているように見えるからだ。

 思えば、3で描かれた「万雷の拍手の中で息絶える民主政」も、当時の政権の対外政策に向けた批判を濃く反映していた。もうひとりの主人公・レイに関しては、ルークの娘かミディ・クロリアンの落とし子か、はたまたシスの末裔かはわからないが、否応に手に入れた強大な力を行使するという事実だけで、当人の意志に関わらずそれはダークサイドとなり得ることを描かれるのではないか。ライトサイドがダークサイドに勝利したことで、フォースにバランスがもたらされた旧作の結末は、いまや現代世界の実情に対してあまりに単純すぎる解決である。おそらく両サイドを二つの文明に見立てた、両者の中庸的な混郁としての落としどころが模索されるはずだ。

 本邦の時代劇から多くの着想を得た本シリーズが、我々の精神性を汲んだこの結論にたどりつくことは必然とも言える。2017年2019年に答え合わせをするとき、私の言葉を思い出して欲しい。

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