映画「ラ・ラ・ランド」感想(完全版)

 ん、んんー? 古き良きミュージカルと恋愛映画の文法で作られているせいか、視聴中はローマの休日やメリーポピンズが思い出されてならなかった。丁寧には作られていると思うけれど、ん、んんー? 素人から玄人に至るまで、あそこまで手放しの絶賛を巻き起こすほどの内容かと問われれば、まったくそうは思えない。

 作品としては嫌いじゃないし、仮に単館上映とかでひっそりと消えていくような映画だったならば、声を大にして名作認定したかもしれない。オープニングのハイウェイシーンばかり流し続ける、視聴側の知性を低く見積もった配給会社の売り方を含めて、周辺状況にゲンナリという感じだ。

 終盤のゲーム的分岐による可能性未来の提示パート、古典の名作なら語らずに受け手の想像に任せた範疇をわざわざ映像化したところだけが、本邦における近年のおたく感性を逆輸入していて新しいな、と思った。

 あと、ジャズバーの演奏シーンで、セッションの教授役の人がいつ激昂して主人公に椅子を投げつけるか、すごくハラハラした。

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