アニメ「サイバーパンク・エッジランナーズ」感想

 ネトフリでサイバーパンク2077のアニメを見る。個人的に肝に銘じておきたいのは、度外れた激賞はテンポラリーな視聴につながりこそすれ、実際との落差から必要以上に評価を辛くさせるということです。最初の印象としては、「ネトフリ資本かつ巨大AAAタイトルのアニメ化にしては、低予算でがんばらされてるな」といったところでしょうか。ニューロマンサーの時代を彷彿とさせるサイケな色づかいや、この世界観でわざわざ少年を主人公にすえたミーツ・ガールにするところなど、全体的に「昭和のSFアニメ」感が強く、深夜の潜水艦で摩天楼を飛びこえて、はるかな時間の国へと行ってしまったかと錯覚するほどでした(なんじゃ、そりゃ)。動かすことを優先したために線の少ないキャラデザなのかと思いきや、止め絵とバンクと速いカット割りで見せていく場面が多く、10年近くをかけたタイトルが見るも無惨な大爆死を遂げたCD Projekt REDの緊縮財政をひしひしと感じさせました。このアニメを通じてゲームにかなり人が戻ってきたという話も聞きますし、創意工夫の高品質を欧米に安く買いたたかれる様は本邦の現状を否応に想起させ、涙が出てきます。

 そして、本作をほめている方々のことごとくが、サイバーパンク2077本編をプレイしていないーーゲーム制作が本業のはずのあの方さえーーようで、もはやゲームという娯楽が時間単価で相対的にハイコストなものになってしまったのだと、あらためて痛感させられました。発売日に購入して全クリした身としては、あの膨大な物量からうまく単語と設定を抜きだしてコンパクトにまとめたなーという感想が、何よりもまさります。でも、原作をプレイしていないのに、アニメだけを見て激賞できる方々の態度、やっぱりなんかモニョるなー。例えばアニマトリックスは最高だけど、やっぱりマトリックス本編あっての評価だと思うんですよ。みんな、4時間ちょっとのアニメシリーズでこの世界をわかった気にならず、サイバーパンク2077に残り少ない人生の100時間を捧げていこう!


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