映画「西遊記」感想

 確かに、ロード・オブ・ザ・リングに匹敵するスケールの物語をアジアから探すとしたら、西遊記しかないだろう。相変わらずドラゴンボールやらエヴァンゲリオンやら、日本のおたく文化の精髄を換骨奪胎するのが歯噛みするほど上手く、近作の定番パターンではありながら、凡人が超人へと化身する瞬間の描き方も充分に感動的だ。

 以前も指摘したけど、おたく文化を一等地低いものと見なし続ける本邦のメインカルチャーとやらからの蔑視のせいで、我々はパシフィック・リムを作られ、ゴジラを作られ、今度は西遊を作られてしまった。同じ内容の繰り返しになるからより詳しく聞きたい向きはカンフーハッスル当たりの評を見返して欲しいが、もうそろそろカネを動かせるという一点だけに頼った根拠の無い優越感は捨てて、君たちは真摯に無から有を作り出す才能へ向き合うべきだと思う。

 ゼロには何億をかけても、ゼロのままなのだから。

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