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好物

昔から食べ物の好き嫌いはそんなにある方ではありませんでした。自分から箸を伸ばそうとは思わないけれど、食べられないと言うほどではない。嫌いといってもその程度のものです。

そんな中、ただ一つだけ出来れば食べたくないものがありました。鍋物に入っている春菊。子供の頃はなんでわざわざこれを入れるんだろうと思いながら仕方なく食べていました。
鍋の中でクタクタになった食感と香りがダメだったのだと思います。

ところがいつの頃からでしょうか、何がきっかけかも分かりませんが、春菊は好きの部類に入りました。生でサラダにするのも茹でておひたしにするのも好きです。(鍋の中でクタクタになるのは今でもあまり好きではないのですが)

逆に好きでなくなったもの。脂っこいトロとか霜降り肉とか。マグロは中トロでもくどく感じるようになってきて、赤身が一番いいです。昔義母がお寿司の中トロとかはいらないと言っていたのを聞いて、「えー、こんなに美味しいのに」と思っていましたが、今ならその気持ちがわかります。歳とともに胃腸の消化機能も落ちてきているのを痛感しています。

好きなものを先に食べる人、最後に食べる人。
私は好きな物を最後にとっておく方でした。子供の頃に父から、「今地震や火事になって急に逃げなければならなくなったら食べられなくなるぞ」と笑われていました。

最近では「大好物」と言えるほどのものがないせいか、好きなものを最後まで残しておくことはなくなりました。大人になり、周りの目を気にするようになったということもあるかもしれませんが、家でも特に最後までとっておくことはなくなっています。
ひょっとすると自分の考え方が少しずつ変わってきているのも原因のひとつかもしれないと感じています。

夫は先に好物を食べてしまう方ですが、普段の生活でもやるべき事を後回しにしない人です。出来るだけ早く済まそうとします。
逆に、以前の私はやりたくないことを出来るだけ後回しにしていました。後回しにしていても、常に心の片隅にはやらなければという気持ちがあったのでなんとなく落ち着かない。そんな澱のようなものはスッキリさせようと、最近はやるべき事はすぐにやるように心がけています。
楽しみも面倒くさいことも後にする。食べ方が思考と繋がっているのかもと思えるのです。

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