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夫さんとの言い合い記録を始める

この記録の提案は”るき”からだ。
一緒に暮らしだして約半年、籍を入れて3ヶ月が経とうとしているこの期間、”るき”はちょうど両手で数えられるくらい自分に閉じこもり、私とも何回か言い合いをした。
普段とても穏やかな彼が、自分でコントロールできないことが起こると突然急降下して不機嫌になると知ったのは、2年ぶりに再び一緒に暮らし始めてからだ。
彼の中で何が起きているのか。
苛立っている状態の”るき”に寄り添ったり、放ってみたり、落ち着いてから振り返りをしてみたりと、生活の中でやりとりを重ねていたそんな時だった。
「俺とのこと、コンテンツにしてもいいよ」
私がコミュニケーションを生活の中で研磨して高めていきたいこと、誰かとのコミュニケーションを通した気持ちを私が発信したいことを、彼はなんとなく知っていた。
絶対嫌がると思っていたので直接的に言ったことはなかったのに。
「えっいいの!?」と、一も二もなく飛びつき、この文章を書いている。
(でもnoteへの掲載はちょっとドキドキして遅くなった)

コミュニケーションを上達させたいけれど、コミュニケーションはなまもので、ひとつひとつ形が違う。
それが大変で、面倒で、面白いと思っている。
私にとって文章も同じ。
好きで、大切で、面倒臭いもの。向き合わなきゃいけないから。
だからこそ誠実に紡ぎたい。
ここの場を通して、るきの課題との関わり方、るきの課題のやわらげ方が見つかるといいなぁ。
ひとまず私の吐き出し場にしたい。

夫さんとの言い合い記録 22.11.26

”るき”は私の夫になった人だ。

昨夜遅く帰ってきたるきは、暗闇の中、家の前の側溝に車のタイヤを落とした。幸い自力で戻れる深さで、その後確認もしてパンクはしていなかったけれど、どうやら車の裏面が良くないようだった。
HSP気味のるきはこういう事態に強くないので、私は少しはらはらした。寝るときも、あまり夜更かしをしないタイプなのに私に「先に寝てて」と言うのも気にかかったが、翌朝私のふざけた踊りのコミュニケーションに乗っかってきたのでよかった。二人で廊下の端から手をひらひらさせておどけた。

だけど、それも束の間。

友人の店の1時間のバイトを終えて帰ってきた彼は、気が付いたらテンションが急降下していた。
今朝は私が東京へ行くので、バイトが終わったら空港まで送ってほしいと頼んでいた。もちろん「9時30分頃に出たらいいよ!」とも言っていたのだけど、絶対遅刻したくないマンのるきは9時10分にはバイトを終えて帰ってきた。どうやら速攻で帰ってきていたらしいのだが、最近ようやくるきの影響で5分前行動ができるようになってきた私はまだのんびり支度の真っ最中で、思い付きでるきに頼まれていた収入調査表(?)を探しに二階へ上がったりもしていた。
結局出発は37分だった。振り返ればこれが引き金だったのだろう。

るきの機嫌の悪さは一発でわかる。
まず声音が低く覇気がない。無言になる。そして私に興味をなくす。

「お金がなくなるのが不安……なんで時々おっちょこちょいやっちゃうんだろう」
るきが話し出す。
「そうだよね、なんで時々おっちょこちょいやっちゃうんだろうね」
私はそれを一旦受け入れて返す。『そうだよね』は“同意”なので、本来は『そう思うんだね』と“相手がそう思っていることを認める”返し方をするのだけど、るきはそれを嫌がるので私の気持ちを交える。
だけどるきの苛ついた一言は、私の努めて気持ちを汲んで返したい思いを一気に吹っ飛ばした。
「なんかことりにこんなにサービスしてるのに、俺ばっかり負担してる。車はことりだって使うから車検とか保険とか出してほしい」

………はぁ???

怒りが一気に沸点を超えた。
まだ言語で伝えられない。まとまらない。嵐のように頭の中を感情が駆け巡る。
わなわなしながら冷静さを保とうとする。私も一気に声音が冷めた。
「……”サービス”って何?私はいつも、上からっていうか、“サービスしてる”って思われてたの?」
「……そうじゃない、サービスとは思ってない」
るきも少し冷静になろうとする様子がある。
「……(言いたいことが)何個かある。ひとつは、機嫌の悪いときに何かを決める話はしたくないこと。ひとつは、機嫌の悪いときと良いときと言ってることが違うのは困ること」
箇条書きで言いたいことを私が述べる。そう話すことによって、自分の気持ちを取り出して客観的に話すことができる。気がする。でもぶつけないだけで沸点はずっと高い。
「お金がなくて不安になるのよね?」
「うん」
「私がるきの車を使ってるのはそうだから、保険と車検は半分出すよ」
「うん」
空気は緊迫したままだ。
会話を続けながら、どこに怒りを生むほどの引っ掛かりを感じているのか自分の中を探る。
保険や車検を出せってこと?違う…。
「わかった、」
腹の中を探って、腑に落ちたものを見つけた。
「私、るきがおっちょこちょいで車ケガさせたの、『おっちょこちょいだなぁ』とは思うけど、それでるきに『ごめん、急な出費でお金がなくなることが不安だよ』って言われたら、『おお、そうだよね、保険と車検私も出すよ』って言うよ。私は、『サービスしてるのに』って言われたことがいやだったんよ」 
お金のことは関係なく、私は対等に生活しているつもりだった。お互いに得意なところの家事をやり、家や生活を回す。
それが実は、上から目線で見られていたと突きつけられた気がした。
「……サービスしてるつもりはない。そう思ってない」
るきがそう言ったので、わかったと返した。
そのタイミングで空港に着いて、バイバイとなった。

これを打ちながら、もうひとつ気付いたことがある。
結婚を機に大好きな気仙沼からるきのいる津和野へ来た私は、現在仕事をしていない。せいぜい週1回のアルバイトくらいだ。雇用保険から職業訓練校へ通っているため4.5ヶ月は収入があるが、それが終わればどうするかを考えなければならない。
だけど、るきは普段私の収入面は気にせず好きなようにさせてくれていた。二人とも子育てがしたいと思っていたので、引っ越してきた当初はいつ妊娠してもいいように、むしろ正社員は避けて考えていた。
でも先日、私の子宮にある筋腫の手術をすることが決まり、妊活は半年から1年先延ばしになった。それならば正社員になって雇用保険・厚生年金・産休育休取れるところへ就職したほうがいいのでは??と思っていた私に、「そんな詰め込んでいいの?」と訝しげに言ってきたのはるきの方だった。
なのに、突然の出費に不安になって私にお金を出せと言うのなら、私に働かない選択肢はないじゃないか。

私はそこまで現場力が高くない。書き出してみて初めてそこに怒っていたとわかった。

書き出した今、怒りは治った。何に怒っているのか形が見えたから、書き出すことは有効だ。
空港のフロントで対応してくれたANA のお姉さんに、冷たく突き放した物言いをしてしまったことを悔やんでいる。
この飛行機を降りたら、ANAにごめんとメールを打とう。


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