見出し画像

「邦楽四重奏団 in 青葉」

「邦楽四重奏団」は、箏・三絃・十七絃・尺八の和楽器のカルテット
メンバーは平田紀子さん、寺井結子さん、中島裕康さん、黒田鈴尊さん
皆さまそれぞれが第一線で活躍されている、超実力派です。
演奏の素晴らしさはお墨付きなので、いつでも安心して聴きに行けます。
 
今回は、能舞台が設置されているホールでの公演ということで馳せ参じました。
千葉県立青葉の森公園の中にある芸術文化ホールです。
普段は普通のホールですが、翌週の能公演に備えて、能舞台が組まれています。
ホール内とはいえ、橋掛りから本舞台、鏡板にきちんと屋根もついています。
 
このコンサートは0歳から入れるファミリーコンサート、とのことで、客席にはお子様や赤ちゃん連れの方もいました。
お子様向けのプログラムかと思いきや、江戸時代の古典から大正・昭和~現代まで、幅広く、たっぷり聴かせてくださいました。
 
オープニングは、2021年の旭井翔一さん委嘱作品「邦楽四重奏曲」
とっても不思議な、とっても美しい和音が鳴り響きます。
中島さんのお手本のような六段に続いて、「千代の鶯」と「初鶯」
季節感を堪能しながら、野山を散策している気分になります。
最近なかなか遠出ができないのですが、客席に座っているだけで、いろんなところを旅することができて、音楽ってやっぱりいいなあ、と思いました。
 
圧巻は「まきむく」
太古の昔、人間が謙虚に自然に相対していた時のDNAが呼び起こされます。
奏でられている音は、現代音楽なのに、いにしえの空気に包まれます。
ああ、この曲を能楽堂で聴けて、本当に良かった。
 
能楽堂は楽器。
 
普通のホールだと音がまっすぐ飛んできますが、能舞台で奏でられると、音は飛んで来るのではなく、満ちてくるように感じます。
脈々と流れるいにしえの空気を、お堂が柔らかく包んで、いっぱいに満たしてくれます。
そして、その空気は、時空を超えて、過去から現在そして未来の私たちに繋がっている。そう言って、手渡してくれるかのようです。
普通のホールで聞いていたら、どのように感じたでしょう。
でもやっぱり、またこの曲を聴く機会があったら、能楽堂で聴きたいと思います。
 
お能は、舞台に何もないところから始まり、すべてが捌けて終わります。
見ていた時間は、夢か幻のように感じられます。
あっという間に終わってしまったひととき。
今日もまた、幸せな気分で家路につきました。

そうそう、アンコールは「「雅な」銚子大漁節」
これまたちょっと他では聴けない、貴重な一曲でした。

*邦楽四重奏団さん、今月はまだまだ聴けるチャンスがあります!
2月23日 14:00 千葉県東総文化会館小ホール
2月25日 14:00 紀尾井ホール小ホール
下記、箏の波のコンサート情報アプリをご参照ください。
 
*「さん」とお呼びするのは、大変失礼であると重々承知しておりますが、「客席からの眺め」では、「先生」方も、「さん」付けで表記させていただいております。何卒ご了承くださいませ。
 
*箏の波では、演奏会情報をご案内しております。是非、生の演奏を聴いてみてください。

 
*************
会場 青葉の森公園芸術文化ホール
日時 2023年2月12日(日) 14:00
プログラム
邦楽四重奏曲 旭井翔一作曲(2021委嘱作品)
 箏Ⅰ:平田紀子 箏Ⅱ:中島裕康 箏Ⅲ:寺井結子 尺八:黒田鈴尊
六段の調 八橋検校作曲
 箏:中島裕康
千代の鶯 光崎検校作曲
 三絃:平田紀子 箏:寺井結子 尺八:黒田鈴尊
初鶯 大和田建樹作詞 宮城道雄作曲
 箏本手:寺井結子 箏替手:平田紀子 尺八:黒田鈴尊
まきむく 二面の箏、十七絃、尺八のための四重奏曲 廣瀬量平作曲(1971)
箏Ⅰ:中島裕康 箏Ⅱ:平田紀子 十七絃:寺井結子 尺八:黒田鈴尊
 
*アンコール
銚子大漁節 旭井翔一編曲

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?