ヘッドフォンとイヤフォン(随筆)

 厳密にはヘッドフォンもイヤフォンの一種なのだそうだが、ここではイヤーモニターのように耳に入れ込むタイプをイヤフォンと定義し、両耳を押さえるような(もしくは密閉する)タイプをヘッドフォンと定義する。

 却説、わたしは生来イヤフォンというものが苦手である。理由は単純で、あんな細かいものを自分の耳に入れ込むことが考えられないからである。
 センター試験の際、英語のリスニングに使用するイヤフォンをヘッドフォンに変更するかどうか聞かれたが、敵対している教師にわざわざ願い出て用紙に記入するのが億劫で、そのままイヤフォンで受験してえらい目に遭った。直接音響の刃を刺し込まれるようで不快感を抱いた。それ以降、二度同じ不快を催さぬためにヘッドフォンにしている。
 同様にコンタクトレンズも苦手であって、どんなに他人にコンタクトレンズを奨励されても、眼鏡をかけるつもりでいる。

 しかし将来を考えてみるに、世間のイヤーモニターはわたしの忌避する形状をしている。ヘッドフォン型もあるそうだが、人前に出るには見た目に難がある。
 どうにかイヤーモニターを耳に入れこまなくて済むよう、色んな手立てを模索せねばならぬ。この真夜。
 


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