見出し画像

『cocan』では じっくりコトコト場をあっためていく

お金を介さずに「今自分にできる、ちょっとしたコト」と「してもらえたら、ちょぴり嬉しいこと」を交換しあえるプロジェクト『cocan(こーかん)』が2020年4月20日にサイト公開されました。

ここでは、200ほどの「自分にできる、ちょっとしたコト」が出品されていて、そのそれぞれに交換してほしい「してもらえたら、ちょっぴり嬉しいこと」が載せてあります。

それは例えばこんなこと。

「節約料理教えます」
  ⇔「自分に似合うメイクを教えていただきたいです」

「今の気分にピッタリの詩をセレクトします」
  ⇔「どんな風に受け取ったのか教えてほしいです」

「あなたのためにコーヒーライフをご提案します」
  ⇔「一番好きなこと、得意なことを教えてください」

小南さん②

そんな面白くてワクワクしちゃうプロジェクトを考え、リリースした小南優作さん。

私も出品する際、内容や運用面で何回か相談したのですが、その時の印象は「行動までのスピードが速い!」「なんて丁寧に向き合ってくれるんだ!」、そして「どれだけアイディアがあるんだ、この人!」でした。
そんな小南さんの『あり方』と『行動力』の中にはどんな想いがあるのか?を聴いてみたい!と思い、今回のインタビューとなりました。

「cocan」ではじっくり育てていきたい

cocanトップ画面

-早速ですが、cocanサイト公開から約2か月。運営上で気をつけていらっしゃることはありますか?

まず気をつけていることは、「闇雲に数を追わない」ことです。
どれだけの「交換」が起こったかという数は追いますが、RT数や新規出品数は追わないということですね。


-それは、どういったことでしょうか。

以前、LOOKMEというサービスを立ち上げたときのことです(※LOOKME…「取材してほしい人」と「メディア・ライター」をつなぐ取材マッチングサービス)。
その時の注目度は今より圧倒的に高く、スタートから1ヶ月で登録者数は1500くらいになりました。cocanは1ヶ月くらいで約200の出品数です。

ここで運営側としては、ついつい目に見える形で成果が欲しいと思ってしまいがちになります。登録者数は一番手っ取り早くわかり、安心するものだからです。

LOOKMEの時にはそこに目を向けていたため登録者数は一気に増えたのですが、実際の取材がどれだけ起こっていたか?という一番肝心なところがおざなりになってしまっていた、という反省がありました。

LOOK MEもcocanも「人が出会ってナンボ」だと思っているのですが、その一番肝心なところを「cocan」ではじっくり育てていきたい。そう思ってやっています。


-やり取り一つとっても、コミュニケーションが細やかだと感じました。

そうですね、そこはそうしないといけない設定にあえてしています(笑)。
参加している方とコミュニケーションを取ることを最優先にして、「交換が起こること」。そして「どんなモチベーションでこの人たちはここにいてくれているのかな?」「どんなときにこの人たちは喜んでいるのかな?」ということを考えながらやっています。


-ある意味、俯瞰して観察もされているような感じがしますね。

正直、自分自身、cocanというのはどういう場所なのか?何をもたらすのか?という本当の意味での「価値」をまだ掴んでいないのです。掴めたら、機能云々といったことにも様々に取り組んでいける気がします。
それも知りたくて、皆さんと関係を築きつつ全体を観察している感じですね。


新しい繋がりが生まれていく

-実際に出品者の方ともやり取りも全て小南さんお一人でやられているんですよね。

自分が窓口になって、直接出品者の方とやり取りしています。今は170名くらいですかね。
確かに手間もかかりますが、その分直接皆さんの意見が聴けるし、感覚が掴めるのがとてもありがたいですね。


-丁寧にこの場に関わっておられる感じがします。

僕は運営する側ですが、cocanの場は心地よくて本当に楽しいです
これまでいろいろな人といろんなことをやってきましたが、断トツで気持ちいい場所です(笑)。
cocanという場所は、最初に「自分ができること」を出せる、giveしたい心持ちの人たちが集まっているから、場として温かくなるし柔らかくなるんだろうと思っています。
「一緒に創ろう」という感じが出ていますよね


-ここまでやってきて嬉しかったことは、どんなことですか。

僕の知らないところで、新しい繋がりやきっかけができていることですね。例えば「cocan飲みしました」と聞いたときはテンション上がりましたね。


-その飲み会は楽しそうですね!

僕と出品者の皆さん、というだけじゃなくて、出品者の皆さんの中で新しい繋がりが生まれていくことがすごく嬉しいです
これは、お金を絡めていないというのも要因の一つかもしれませんね。受発注の関係でなく、対等だからこそ継続しやすいというのもあるかもしれません。

こんな場であったらいい

cocan具体

-cocanのサイト自体、見ているだけでも楽しいですね。

結果的に良かったなと思っていることがあって。それは皆さんの「してほしいコト」よりも、全面に「したいこと、してあげたいこと」が並んでいることです。ここは表現にもこだわっていて「ちょっとしたこと」「ちょっぴり」と、気楽にできることを挙げてもらっています

例えばお困りごとや「~してほしい、助けてほしいです」が全面に出ていたら、また違った感じになったと思うのですが、今は「私は〇〇ができます」がトップに出ていますよね。これが見ていて「楽しい」んだと思います。


-運営側という立場から「cocanがこんな場所であったらいい」という想いはありますか。

例えばこれが「それぞれがやれることを無料で提供するサイトです」となると、ただただ楽をしたいだけの人がガ~ッと人が群がって本当に必要としている人に届かなくなるかも、という可能性もあります。
でもcocanは「できること」と「してほしいこと」を交換する場なので、何かしらそこに交換が生まれる。そうすることで関係が一方的にならず、搾取を防ぐセーフティネットとなっていけるのかな、と思っています。

そしてプラットホームとしてcocan自体が活性化して循環していく仕組みがあると嬉しいですね。
例えばある人のcocanを体験してそれを別メディアで記事にするとか、体験したcocanをシェアしてもらうことで新たな方から申し込みが入ったり。
出品者と利用した人の直線的な交換を超えて、新たな線ができると嬉しいですよね。

結果として、がいっぱいあった

-小南さん自身、直接もらった言葉で嬉しかった言葉はありますか。

いろいろありますが、
「cocanがきっかけで自分ができることを思い出した」
「自分の中を整理することができました」
「ずっとやりたかったことをcocanで始めてみました」
といった言葉が、今思い出されます。

狙ったものではなく結果的になのですが、お金が介在しないやり取りであったことが良かったのかもしれません。
お金ではなく、「あなたもgiveしてね」ということを仕組みとして先にセットしていたのが結果良かったのかもしれませんね。


-結果として、ということがいっぱいあったんですね。

これまでに取材の学校をやってみたり、取材されたい人のまとめノートを作ってみようとか、イベントしてみようとか、いろいろやってみました。
これらは全部「最初にやってみよう」と思った粒の大きさは一緒だったんです。その中でcocanが転がり出したんで、今はその比重を上げてやってみようと。
だから結果です。全然狙えてない(笑)。


-そうだったんですね。

以前は後付けでロジックを当てはめようと思ったんですけど、今はそこは他の賢い人が解釈を加えてくれたらいいかな、と思うようになったら自分が楽になりました。
僕はやっぱり「タネを思いついて走り出す」のが得意で好きだなと思って

これまではカッコよく戦略みたいなものも考えていたのですが、今は「みんなで育てていく」というスタンスに変化してきました


-そんなときに、注意していることがあるのだとか。

例えば作業を割り振ってやる方法もあると思うのですが、そうすると「結局作業分担しているだけじゃん」となることもあるので、ここはすごく注意しています。

「自発的に」「勝手に面白がって」いろんな解釈がなされたり、いろんなアクションが起こるようになったらいいなと思っています
少し前にやった出品者の方が参加しているLINEのオープンチャットで「インタビューを受けることになった僕に、これも聴いてほしいという質問を受け付けます」というのも実験的にやってみたことの一つですね。みんなでやったらどうなるか?という。


じっくりコトコト場をあたためていく

-みんなを巻き込むのが上手な気がします。

あー、でも僕はこれまでに失敗してきていて(笑)。
コミュニティも3つか4つ作っては潰してきて。そういうことで徐々に学んできている感じです。

紹介4

-cocanの場では皆さんが自発的に楽しんでいる印象がありますね。

そこは運営云々というよりも、結果的にそういうことが生まれやすい人が集まってくださったんだと思います。
だからこそ自戒の意味も込めて、いいように利用しないということを大事にしています。

過去に違うプロジェクトで、例えば来週までに200RTしよう!といって勢いをつけて焚きつけてやったりもしたのですが、そういうときって盛り上げるのも早いけれど冷めるのも早い。

そんな反省もあって、今はじっくりじっくり関係性を繋いだ方がいいなと思っています。じっくりコトコト場をあっためていく。それを意識しています。


-参加されている皆さん自身も場をじっくりあっためている感じがしますね。

今回いいなと思うのは、「cocanという場所にいて下さっている人たちから意見が挙がっている」ということです。
過去には当事者じゃない人たちの声を気にしていたという反省もあって、今回はここが嬉しいですね。

「みんなで創り上げている感」がめっちゃありますよね。
多数決で決めるというのも違うと思うし、きちんと想いを持って意見を吸い上げて物事を決めていきたいと思っていますね。
意見を言わない人も意見がないわけじゃないと思うので、今後はそういうのも軽やかに出てくる仕組みも作ってみたいですね。

コンセプトコピー

<cocanのコンセプト>

-cocanのこれからについて、想いを聴かせてください。

新しいコミュニティが生まれる場所になっていったら最高ですね!
あとは“楽しく”誰かの役に立てる場所であったら嬉しい。

cocanは直接相手からのフィードバックがありますし、それも大きな特徴だと思います。
「自分」を「価値」と感じてくれる誰かとの出会いがスムーズに起こる場所だと思うので、この世界観を一緒に楽しんでいきたいです。


cocanでは、できるコトを出品してくださるヒトを募集中です!


-(インタビューを終えて)-------------------------
小南さんとのこれまでのやり取りで感じていたことは「丁寧に楽しんで対応される人だな」「アイディアがどんどん出てくる人だな」「こちらの立場や気持ちを汲んでくれる人だな」でした。

それについて最後お聞きした際に「人の相談に乗るのが好きなんですよ~」と、楽しそうに話してくださったことが印象的でした。
自分の棚上げ力と、自分のさておき力がすごいですが… と笑いながら話してくださいましたが、やはり皆さんが「ねえねえ聴いてほしいのですが」と気楽に話せる雰囲気をつくってくださっているのだと思います。

小南さんの話されていた
“みんながそれぞれの「いい」を表現できる世界を楽しんでいく”世界がもっと拡がっていく、そう感じた時間でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?