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杜琴乃
2020年1月25日 11:52
夏の終わりを労わるようなレモンを切る感触が湿った肌を清拭する作りあげた層は糖水を思い出して砂糖はよく泣いた一滴、一滴、が保存瓶の底に溜まる結晶と溶解の繰り返しにあらわれる揺らぎは天気雨と蝉時雨のなかで産み落とされた蜻蛉の卵の羽ばたきだ 清潔なスプーンで掬う最初のひと匙はくちもとに密やかな光を留め反時計回りで探る味蕾に苦味が追いかけてくるひみつ、の合図にとまる蜻蛉と