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中華ちまきのおはなし【フードエッセイ】

もち米のむっちりボディーのお出ましか、と思いきや
あっという間に覆される概念よ。

笹を開ければ
ピーナッツ、カシューナッツ
高野豆腐、干し椎茸が
ぶああああっと溢れだすのは
まるで旨みの宝石箱や〜〜
思わず彦摩呂節になるのです。

清荒神の坂をのぼると
赤と水色のorionの提灯がぼんっと現れる。
今日はここで知人のライブがあって
この前いっしょに一乗寺へ行った子と
どしゃ降りの雨の夕暮れ向かう。

お酒を飲みながらライブを楽しめるということで
ハイボール片手に開演までしばらく待つんだけど
なんせ胃袋にはミャンマーの浅煎りコーヒーだけなので
お腹はぎゅーーーっと空く。

メニューをちらっと見れば「中華ちまき」の文字。
"包まれた"ものを想像させる食べ物は
無性なワクワク感があって思わず注文した。

笹に包まれ正体不明な姿でありながらも
そのずっしり皿に重鎮する佇まいは美しいのです。

きっと551の中華ちまきのように
もち米がむぎゅっと詰まってる
むっちりボディーがお出ましなんだろうな〜

そんなことを思いながらいざ開けてみれば
ぶああああーーーっと
なだれを起こすように溢れだす具材たちよ。
ピーナッツ、カシューナッツ
高野豆腐、干し椎茸がお出ましで
私の中華ちまきの概念が覆されたのだ。

もち米むぎゅっとな551的中華ちまきは
もちろん好きで
あのむっちりボディーな弾力感に
包まれたい〜ってなることはあるんだけど
食べ進めるうちに「もう満足です!!」って
必要以上に満たされることもあるのだ。

それに反して、この中華ちまきは
清楚的な要素がぎゅっと詰め込まれてて
一見全てにおいて気品と思いきや、
この私の手にかかればイチコロよって時に
ぶああああって旨さ放出するんだから
それはもう反則的な美味しさなのです。

そしてね、
かりっ、じゅわああ、ぷちぷちっ、もちもち~って
愛しのオノマトペが溢れる喜びよ。
咀嚼するにつれて
味が奥深しく拡張してゆくんだから
もうそれはそれは幸せで、、、

中華ちまきを噛み締めながら
ハイボール片手に
ゆったりとした音楽に身を包まれる贅沢と言ったら
もうわたくしは
あの敬愛する鶴見氏の天国行きを感じました。

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