文化欄#12 メタバース・ハラスメント

「メタバース・ハラスメント」という現象について報道されていた。

メタバース・ハラスメント デジタルの痛みとは|NHK

その名の通り、ネット上の仮想空間「メタバース」上でのハラスメントのことを指しているそう。

メタバース文化の研究者、バーチャル美少女ねむ氏と文化人類学者のリュドミラ・ブレディキナ氏の調査をもとにした報道だった。
(ご本人が今回のNHKでの報道や調査結果をまとめてくださっている)

調査によると、約6割のユーザーがメタバース上で何らかのハラスメントを受けたことがあるという(なお、この調査でのハラスメントの定義は「他のユーザーから不快な思いをさせられる不適切な行為」となっている)。
また、すでにVR世界上でのアバターに対する誹謗中傷に関して「アバターとユーザーを同一のものとみなす」ことで実際のユーザーに対する侮辱行為とした判例も出ているそうで、すでに「メタバース上でだけの話」という状況ではなさそうだ。

他方で、上記の調査によると、こうした迷惑行為に対するメタバース上の法規制に対しては、それに伴うプラットフォーマーによるユーザーの行動の記録・保存に対する懸念なども含め、ユーザーの多くが抵抗感や拒否感を持っているという。

近年、メタバースというキーワードをあちこちで聞くようになっている。
そこまでメタバースに慣れ親しんでいない人たち(私を含め)の間では、特に技術面の進化や課題について語られることが多いように感じるが、倫理面でも様々な議論がなされている模様。

実社会での様々な要素にとらわれないという、メタバース上での自由度を担保しつつも、あくまで裏側には生身の人間がいるのだということを前提とした「どこまでが許容(規制)されるべきか」というのは、結構難しい論点だと思う。

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