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ダメもとで肉尽くしディナーをお願いしたらいけた

​ここは田舎町「御坊」のイタリア料理店「BAMBU」

御坊にあるBAMBUは私が学生時代にアルバイトでお世話になっていたこともあり、コストパフォーマンス日本一と名高い和歌山屈指のイタリア料理店、と私の中で位置付けられている。よく私の中で話題に上がる。いやほんとに私の中だけではなく県外からも美食家が集う名店である。

BAMBUのクリスマスディナーについて

クリスマスは一年で一番忙しい期間といっても過言ではない。通常のクリスマスなら予約が多く入るため17時から19時、19時半からラストの二部制となっており、期間中は決められたクリスマスコースだいたい2種から予算を見てお客様が選ぶ形だ。普段のアラカルトなどはほぼ注文できない。

そんな中シェフに問い合わせたのは「肉多めのコースをお願いできますか?お値段は気にしません」だった。

いざ!肉尽くしディナーへ

今回はあらゆる肉料理を常に探求してさまよう友人とともに息巻いてやってきた。二人とも途中で肉の油に胃がやられまいかと冷や冷やするお年頃だ。肉多めのディナーひとり8000円、苦手なものなし。と言うヒントがあまりない未知のものとなっている。もしかしたらA5ランクのステーキ×5とかかもしれない。そうなると完全に胃が死亡するだろう。
8000円のコース料理はこれまで生きてきて食べたことがない貧乏舌の筆者なので一応オシャレをしていく。ええ、クリスマスだしね。

前菜の盛り合わせ 題「肉」

牛さんのローストビーフ、豚さんのパルマ産生ハムのプロシュート、鳥さんのスモークの前菜盛り合わせ、題して本当の本当に「肉」。提供された瞬間に「…ハッ…!わあ…!」と言う。喜びより驚きが多い。まさかここまで頑張ってくれるとは…。もちろん全て抜群に美味しい。和風テイストが入り混じる日本人の口に合う品もある。
一皿目でシェフへの感謝が湧き出てきたがこのあと更なる高みへ導いてくれるとは思いもよらなかった。

前菜パート2 題「サラダっぽい牛タン」

申し訳程度の生野菜が敷かれている美味しすぎる牛タン、ジェノベーゼソース添え。これはサラダのようにも見えるが肉。これは肉なんだ。和風に調理された牛タンとジェノベーゼの絡まりあいが素晴らしい逸品である。ふたくち5秒で完食。

前菜パート3 題「鴨」

あれ?まだ前菜…だよね?うん。どう見てもメイン料理の鴨のローストの登場。鴨肉は鶏肉に近いようで遠い独特の食感と味が楽しめる。クリーム仕立てのソースと抜群に相性が良い。美味しい。
幸せに満たされたがすでに満腹寸前のお腹と激しい肉料理のコンボにやや不安になってきた。
待ってまだ前菜だよね?

ピッツア 題「肉」

「え…!?」

牛すじ煮込み、ベーコン、ソーセージというあらゆる肉加工品がこれでもかと乗せられたピザがやってきた。かつてこれほど肉肉しいピザを見たことがあっただろうか?いやない。
和風に丁寧に味つけられた牛すじがアクセントとなった食べやすいピザである。そして間髪入れずに登場。

パスタ 題 「肉とトマトソース」

ピッツアと同じ具材のパスタだが、トマトソースでさっぱりとまとめられている。素晴らしく美味しい。いやまて、まだメイン料理が済んでいない。一体どうしたらいいんだ。すでに臨界点は近いぞ。

温菜 題「鹿」

熊野鹿のグリルの登場だ。驚くことにこれはメイン料理ではない。繰り返す、これはメイン料理ではない。私が主役だと言わんばかりに赤く輝いている。青ネギが爽やかに包み込む逸品。美味しいよ鹿さん。
いやしかしこのままだとマズイ。牛すじ、ソーセージ、ベーコン、鹿、そして炭水化物との悪魔的コンボの数々、このあとにメイン料理のA 5ランクのサーロインか?普段もA 5のサーロインは二口ほどしか食べられない筆者だ。それはさすがに耐えられないぞ。

メイン料理 「高級な肉」

これはさすがとしか言いようがない。これまでの私の心の中の葛藤、不安、お腹の調子、全てをシェフは理解していた。間には肉厚な大根の和風煮が挟まれている。上にはフォアグラのソテー、下にはおそらくフィレステーキ。全ての肉料理を正常な形で浄化してくれる神の一品だ。シェフは天才である。
肉厚な大根は食べてきた肉の油をすっきりと整える効果を持っていた。幸せなコース料理の終わり、ハッピーエンドである。
ここまで考えられたコースは本当に素晴らしい。途中で少しでもシェフを疑った私が未熟であった。シェフはやはり万物の全てを理解していたのだ。

終わりに

最高の肉尽くしコースだったということをここに報告する。いや本当に素晴らしい。焼肉などでお肉を食べすぎたあとの「しばらく肉は要らないわ、味噌汁でいい。」という気持ちには一切ならなかった。熟練のシェフの成せる神業がそこにあった。
何を言いたいかと言うとやっぱり牛肉だわ。

さて、今回はコロナウイルスによる自粛ムードの影響もあり、いつもより余裕があるシェフにかなり前から連絡をして無理なお願いを聞いていただいたコース料理なので、普段はもちろんないし、もしお願いをするときは一ヶ月以上前からの相談をお勧めする。

今回無理を聞いてくださったシェフに多大なる感謝を伝えると共に、私の妄想と誤認識がお店に迷惑を被ってしまったら本当に申し訳ない。
全ての情報が真実とは言えないことを皆様にお伝えしておこう。

タンパク質と脂質ばかり取るクリスマスもたまにはいいじゃん?クリスマス関係ないけどね!

とにかく美味しかったのです。
この情熱を書き留めておきたかったのです。
ここまで読んでいただいた方は本当にありがとう。
外食ばかりするので少しずつnoteを書いて行けたらと思う。