朝床に 聞けば遥けし 射水川 朝漕ぎしつつ 唱ふ舟人
(「万葉集」巻⑲・4150 大伴家持)
『歌が聴こえる』
空にたゆたう光の帯が
満天の星をかき消して
太陽が立山の背あたりから
昇る頃
私は、
ほんの少しの気だるさと
体の温もりを布団に残して
研ぎ澄まされた早春の空気に
耳をすます
遥かなる射水川から
空気を裂いて
かすかに聴こえる 人の声
それは
舟を漕ぎながら
高らかに歌う舟人の声
その心地良さに
しばしの間 身を預けながら
また、まどろんでみる
夢の世界に戻りかけても
射水川のほとりから
確かに 歌が聴こえる
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