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前を向くことにした

自粛生活が終わり、6月の始めから仕事が再開した。
自粛中は自分の内側と向き合う時間が多く、再び外に(それも都会に)出かけて人と関わる仕事に戻れるのか不安もあったけれど、始まってみたらやっぱり人に会えるのが嬉しい。(うちにいるのも楽しかったけど)
職場の仲間や仕事で関わる人がやっぱり好きだし、人の素敵なところを見つけやすい場所なのだと感じている。

その一方で、何もかも元になんて戻らなくていいよ、という気持ちもある。
たとえば、夜遅くまで働くこと。以前は夜遅い時間のシフトが多く、職場が仕事が好きだから充実しているから…と気持ちで乗り越えてきたのだが、やはりからだはつらかったのだと、一回休みになって実感した。再開してからは時短営業なので、この面では助かっている。

からだを大切にするということは、当然のことながら感染症対策をすることだけじゃない。暮らしの中もっと全体で、自分のことも人のことも決してないがしろにせず、おおらかでほがらかにいれたなら…って、抽象的な言い方になってしまうけれど、そう思う。

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今日は、企画から関わっている音楽イベントの、約2か月ぶりのリアルに集まってのミーティングがあった。

9月のイベント本番に向けて「オンラインで開催するとしたらとんなことをしたいか」の案出しをここ2か月はしてきたのだが、とうやらオフラインでも(例年より規模を縮小、いや濃縮したなら)開催できそう!!今のところは!と分かったこと、久しぶりに仲間に会えたことがとても嬉しい今日であった。

そして今日私は、今年のこのイベント作りにおいて「今までやったことのない持ち場」を担当することに決めた。

もともと「こういうことがしたい」と漠然と思っていることがあったのだが、今日のミーティングで、今年進められることと、来年まであたためていくのがよさそうなことを見極めたり、自分がスタッフ経験を通して本当にしたいことって何かな?を見つめてみたら、「全然今まで考えもしなかったけど、今年はこれやってみようかな」とふと思いついたのだ。

自分がそれに関わるなんて、今日仲間に会って話をしなければ思わなかった。
今までと全く違う(もちろん毎年変化はあるのだが)状況の中で、やったことのないことをやってみる。それ、いいかもしれない。そう思えたことが嬉しかった。

昨日までより少し前を向いている私がいる。


実は少し前に、「私にとってとても大切だったことに対して、どうやら今は私の望む形では突き進むことができないらしい」と予感するできごとがあり、自粛が開けたことによりその予感はよりくっきりしたものになってきたのだが、なかなかそれを受け入れられずにいた。気がつくと、このことについてぐるぐると考えてしまい、悲しい気持ちにもなっていた。

けれど、そのほかにもどうしたって心が沸くこと、楽しいことはある。分かち合う仲間もいる。美味しいものは美味しい。このからだは今日も生きていて、明日も生きようとしている。

大切な想いがあって、すごくすごく大切でも、頑なにその想いだけにしがみつくような、握って離さないような状態では、そばにあるしあわせに気づけなくなってしまう。

だから、そっと手を離そう。
握りしめていたところを、ひらいて、そこに風が通り抜けていくのを味わおう。

それはきっと、さびしいことなんかではないはず。

いつか、手放した想いとまた出合うことがあったら。
今とは違った視点から見れるのかもしれない。
もっと軽やかに、あかるいものになっているかもしれない。

その時は、笑顔で再会を喜べるように。

今も少し鼻の奥がツンとしながらも。
私は、前を向いて歩きだそうとしている。

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