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歩き旅の失敗

所沢から、川越まで、歩いた。

本当はもう少し(もう10キロほど)歩くつもりでいたが、今日の日差しは強すぎた。塗りたくった日焼け止めは汗とともにコンクリートへと落ち去り、肌はヒリヒリと泣いている。
夜通し歩こうかとも思って夕食後にまた歩み始めたが、行く先の空が無音ながらに光っている。慌ててスマホで天気を調べれば、夜中に雨予報となっている。

全てに身を任すのも旅であれは、思い通りにいかないのも旅である。
そうして、今は(川越のホテルは高かったので)電車一本で池袋にやってきたわけだ。
あまりの街の陽気さに眩暈を覚えつつ、急遽取ったホテルに辿り着く。


さて、この日焼けによるダメージは明日も私を悩ますに違いない。そもそも、日焼けを日頃から避けているだけに、今はとても不快だ。明日は熊谷まで行くのだが(ホテルも確保済み)、すでに電車で行く気でしかない。明後日は、栃木県に入り、最終目的地の足利に行く。

累計70km少々の歩き旅の予定だったが、地球温暖化のせいにでもしておこうか。今回はひとまず、今日の15kmでストップとする。あまりにも味気ない。


今回は動画を取れないかと思い、スマホスタンドも買って、ところどころで撮影しつつ歩き進んだ。

正直に言って、非常に不愉快だった。

なるべくスマホに頼らずに歩き回るというマイルールにおいては優秀な制約となっただろう。
しかし、手が塞がるというのは、如何せん厄介だ。右ポケットのメモ帳の存在は限りなく忘れられていた。
そして、撮影するか否かという意識は、本来のあり方を追いやるものだった。私の心は、旅に集中していない。撮るべきタイミングを探していた。

なんという勿体無い一日だったのだろう。これなら、電車でスィーと川越まで行って、スタバかドトールにでも入り、本を読んでいればよかったというのが本音である。私のお気に入りの倉敷珈琲店もあったのに(気に入っているのはケーキのオペラだけれど)。

もちろん、一切合切がマイナスだったわけではない。
反対車線に見つけた向日葵、変な看板とか、私の心を躍らせるものは確かにあった。お昼の野菜ビュッフェも悪くなかった。

撮影者:反対車線に渡る気力もない私
錆びたジョイフル

そう。
その楽しみが、まだまだ落ちていたはずなのに。

前傾姿勢な看板

なんという無駄な時間だったのだろう。

と、確かにくよくよしていたわけだが、まあそんなものだろう。

歩き旅において、ほとんどの時間が無駄に等しい。
車に自転車に追い越されながら、少しずつしか変わらない景色にうんざりしつつ、コンクリートによる余計な疲労に参り、黙々と歩き進む。ほとんどの時間は、"ただ歩いているだけ"。

そんな、四六時中、楽しいものや驚きがあるわけじゃない。
また、今回の旅に限らずに最近思っていることとして、「日本の街並みの変わらなさ」を苦く思っている。どこもかしこも似た様子なのだ。

なんにせよ、どのみち、歩き旅に限らず旅なんてものは、残るものは塵も同然で(その塵も積もりはするけれど)、暇潰しのようなものだ。

明日からの旅の続きも、大して還元されるものなく進んでゆく。
何も期待しないように頑張って、ゴミ同然の、価値なんて無いようななにかを、また探すのだろう。


所沢駅→川越駅
約6時間
約16.3km
約20100歩

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