見出し画像

丁寧にオセロをひっくり返す


自分の中の『いい気持ち』『いいね!』『Happy~』
なんて気持ちをオセロの白。
反対に
『ゲゲッー( ;∀;)』とか『ガーン』『クソっ~!』ってな
気持ちをオセロの黒とここで表そう。
昨日、昼に「ゴンゴンゴン!」と突然我が家にやってきた
訪問セールスのお兄さんとのやり取りで、
今、このオセロの黒を白に丁寧にひっくり返すのが
大事なんだな~と思った話。
今この時、カッカしながら煙を上げているあなた
ちょいと眺めの深呼吸をしながら読んでみませんか?

ゴンゴンゴン!『電気の契約切り替えませんか?』

のんびりと寝ぼけたような週末の昼時、
ドアをゴンゴンたたく音がする。
『ここに尋ねてくる人って誰かいたっけ!?』
『庭造りを手伝ってくれている隣のおじさんか?』と思って
ドアを開けると見知らぬ男の人が立っていた。
インド系の中肉中背で、年のころは30少し前ぐらいか。
『How are you?』と聞かれて、つい『I am fine, and you...』。
宅配のお兄さんが確かインド系の人だったなとか
思いながら相手の用事を確かめようと一瞬考えていると
すかさずマシンガントークのセールスが始まった。

『今だと、新品の洗濯機、あるいは新品のテレビ、新品の冷蔵庫が云々。。。』
最初の動詞を聞きそびれたため、
今一つ要を得ず、
『ところで何のセールス』と聞くと、
『Trust Power』と電気会社の名前を言う。

そこでようやく合点がいって、
これがこの国の熱心な『電気の契約切り替えませんか』
競争かと内心うなづいた。

ところがちょうどその時、
初めて息子が張り切って作ったパスタを
今まさに食べ始めようと皿に盛ったところ。

『すみませんが、今私たち、
ちょうどパスタを食べるところなので、時間がないのです』
すると相手もセールスマン。
『何時だったら、いいか?また再度、出直します』というので
『1時間後だったらいいよ!』
と言ってとりあえず引き上げてもらった。


選べる電気会社と契約

余談だが、ニュージーランドの電気代は高い。
おまけに、基本的に調理器具と暖房器具が
電気をメインに作られているため、
月の使用料金は日本よりもはるかに高い。
今回、昼時のパスタを食べながら、
戻ってくるであろう電気会社のセールスマンに対応するために
急ぎ我が家の電気代の過去6カ月のコストを出してみたら
平均131$(ニュージーランドドル)。
日本円の換算で9000円強。
ガス代を含んでいるとはいえ、
地味な二人暮らしのコストとしては結構高い。
一方、やってきたセールスマンの
Trust Powerなる会社があるのかどうか
ネットで調べてくれた息子が
『お母さん。ああいうセールスの人は結構しつこいから、
はっきり断らないと帰らないよ。
お母さんはどうしたいの?』という。

『お母さんは、おまけのものはいらない。
電気代が確実に安くなるプランなら
乗り換えてもいいかな~とは思うけど

オマケでつる商売は好きじゃないから、
テレビがついてきても今回はいらないな。』

『え~。僕は、新品のテレビちょっと魅力的だな。
 テレビを見たいわけじゃないけど、
 プロジェクターとしてはあってもいいかな~って思うんだけど。
 まあ、お母さんの話だと、今回我が家の答えはNOだね。』

ちなみに、
現在我が家が契約している会社は
Electiric Kiwiという小さな会社
一日の24時間の中で、
オフピークの時間帯
(午前9時から午後5時までと午後0時から午前6時前まで)
に一時間の自分のライフスタイルに合わせて
一時間電気代が無料の時間を設定できるところが
気に入って契約をした。

その時に、
迷って在オークランド歴の長い知人に聞いたところ
『大丈夫。そのうち、新しい会社がこんなおまけがつきます!って
いろんなオファーをもってコンタクトしてくるから、
それからそっちのほうがお得だったら見直せばいいよ。』

とアドバイスをもらっていたのだ。


今なら、新品の冷蔵庫か洗濯機、
あるいはテレビをつけちゃいます!

話を、くだんのセールルマンに戻そう。
1時過ぎにやってきたセールスマン。
『今、現在の契約からこちらの契約に乗り換えてもらえれば
Wifi契約1年間半額。
現在の契約料のキャンセル料は150ドルまで、わが社負担。
おまけに、新品の冷蔵庫化、洗濯機、テレビのうち
お好きなものを一つ選べます!』と自信満々におっしゃる。
もう、契約の切り替えは既定路線のように。
いやどうやら、彼の中では、
『この家は、もうもらった!』
というカウントに入っていたようだ。

ところが、
我が家がおまけの商品は何も今いらないこと。
電気代が安くなるプランならば考えるけれども、
wifiプランが安くなるとか、云々では
我が家は今、検討の対象にならないことを伝えると
憮然とした表情になった。

『You know what....』と始まり、
あたらしい電気製品はそれだけ消費電力が安いし、
もし使わない場合もマーケットプレイスで売れば
けっこう高額で売れる。損はない。
それなのに、
『What do you still doubtful I am saying....』
(まだ何が疑わしいというのよ~)と釈然としない表情だ。


セールスする側の論理ではそうなるのかもしれないが
オマケを売れば多少のお金にはなることはよくわかるよ。
 でも、私は今、そこには興味がないし、
 そのことに時間とエネルギーをかける気もちはないのよ。
 だから、ほかの家庭を回ったほうがいいよ。

と、まだまだ粘ろうとするセールスマン君にお引き取り願った。


『セールスマンに逆切れされる』三度めのノック。

今日はなんだか忙しい日だなと思いながら、
ドアを閉め、三分ほどたったころだっただろうか。
再び『ドンドンドン!』とドアをたたく音。
『まだ、しつこく粘る気か!?』と思いつつ、
もう一度ドアを開けると同じセールスマン。

静かな口調で
『自分はこの説明に30分を使った。
もしあなたが、最初からその気がないのならば
もう一度戻ってきてほしいというべきではない』

というようなことを言い始めた。

内心『はあ~?』っと思いながら、
あなたがは自分が30分を無駄に使ったというが、
 こちらだって、あなたが持ってきた条件が果たして
 我が家に役に立つかどうか、
 昼に30分以上の時間を使って調べたよ。
 そのうえで、そちらが提示する条件を
 受け取りたいかどうかを判断するのは
 こちら側の判断で、
 あなたに云々言われる必要はない。

 といい返した。
 そして、馬鹿なことに、相手と同じ
 超イライラモードを
 自分自身でひっかぶってしまったのだ。


『悪いけど、これ以上あなたと話すことが
 お互いHappyだとは思わないので、ほかの家を回ってください』
と言って三度めのドアを閉めた。

そのあと、
自分のことをしながら、セールスマン君のことが思い出された。
ああ、きっと歩合で働きながら、
 契約を取ったらいくらっていうシビアな条件なんだろうな。

それとともに
これまで出会ったすべてのインド人がしてくれた親切と
自分がこれまでのバイトや仕事で経験した
ぐちゃぐちゃした面倒な体験が思い出されてきた。



四度目のノックは、謝罪とともに

今度は、20分ぐらいたった後だっただろうか。
今日四度めになるノックの音がした。
三度めとは違って、
こちらも『イライラ、カッカ!』も取れて
いったい、今度は何を言うのだろう?
と思ってドアを開けた。
(こんな時にドアを開けるのが必ずしも懸命な判断か?と言われると
 答えに窮するし、むしろ『開けるな!』というほうが一般的だろう。)

すると目の前のセールスマン君、首をややうなだれて言う。
さっきは、本当にひどいことを言ってしまった。
 あの後、とても自分自身嫌な気持ちがして、
 謝りたくて戻ってきた。

 家族にもいろんなことがあり、ふつうはあんな言葉は言わないんだけど』とかなんとか。
私のほうも、
いや実は私も、セールスの仕事は
 大変だろうなって思っていたところよ。
 自分がかっとなっていったことがかえってきてしまうからね。
 自分を傷つけないようにね。
 あなたは、あなた自身の中に信じるものを持っているだろうから
 それを信じて。
 今、私は自分のことに集中したいから、
 あなたのセールスには強力できないけど、
 自分自身を傷つけないように、しっかり守って今日を過ごしてね

 と言って、ドアを閉じた。



出会うところでオセロの黒を白にひっくり返す

おそらく、
彼もこの経済状況の中で
不安を抱き藻掻いている一人なのだろう。
『不安』『疑心暗鬼』『無価値』『見える価値=おかね』etc....
周りには、真っ黒『オセロ」を見せる人が
たくさんいるんだろうな。

そして、私の中の疑いの心。
新参ものとして、だまされるかもしれないというオセロの黒が
こういうちょっとナイーブなセールスマン君を
登場させたのだろう。

日常といえど、一瞬一瞬は奇跡のような確率で
どんな人とも出会っている。
そんなご縁あった人として
ちょっと今日のいいことにつながったら、ラッキー!
ブチ切れそうな『クッソ―!』が
『案外世の中捨てたもんではない』と。
他人のオセロをひっくり返したつもりで、
ひっくり返したのは、自分の中のオセロ。
そして、
自分の中のオセロも他人の中のオセロも
実は、ぐるりとつながった世界を生きている。

ご縁あって出会った黒いオセロが
白いオセロに
一つ一つひっくり返ることで、
一挙にオセロがひっくり返る世界を見たいと思っている。
案外、そのオセロのひっくり返る世界は
もうすぐそこに来ている気配。。。。。。

 









 









 



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?