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マオリの癒しの智慧の哲学 1)Wairua:(Sprit)とMauri(Soul)

NZのマオリ族には
古来からこの土地にある植物を使ったハーブ療法と
マッサージなどの身体的な癒し、
そしてスピリチュアルな癒しの伝統が受け継がれている。
今回、
マオリ族に伝わるハーブ療法を習うきっかけがあった。
その伝統的癒しの智慧の体系を支える背景には
現代人が改めて気が付き
取り戻すべき豊かな智慧と自然とのつながりがある。
第一回目は、
循環するエネルギーであり
万物に宿る意識としてのWairua(ワイルア)と
肉体としての生命のエネルギーである
Mauri(マウリ)について説明していこう。

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循環するエネルギーとしてのWairua:Spirit 
生命に宿る叡智の意識

マオリの植物療法の古来の智慧に触れる
きっかけとなったのは
私の住むオークランドのある図書館での企画だった。
長年マオリのハーバリストの元で
植物の癒しの智慧を学んでいるEmmaは、
イギリスとドイツに先祖のルールを持つ白人の女性だが
小さいころから自宅の裏庭の木と
話をするような少女だったという。

当時そのような会話をしていることを
自分の家族にも理解をしてもらえなかったというが
マオリの伝統療法を学び始めて
動物や植物、
そして言葉を介さずとも
人間どうしが個人の知識を超えて智慧の源に
直接つながることが可能だということを知ったという。

そんな彼女が
マオリの植物療法の講座を始めるときに
大切な話として始めたのが
マオリの世界観を理解する鍵となる
4つのコンセプトだった。
第一は、Wairua(ワイルア)。

Emmaは、Wairua(ワイルア)を、
人間や生き物、そして万物の中に宿る
水の流れのように循環するエネルギーであり、
Spiritと訳すこともできるという。
また、Wairuaの語源をたどると
Wai=水、個性、ユニークなもの。
rua=二つのもの。異なるもの、
という二つの言葉から成り立っている。

Wairua(ワイルア)のもっと深い意味が
知りたいと思って調べてみると、
『Whakairia ki runga: The many dimensions of
wairua』
(ワイルアの多次元的な意味)という
論文の中にとても興味深くわかりやすい
説明があったので引用したい。

Wairuaについて
『すべての行動や自然現象、
そしてその他の影響には
物理的、スピリチュアルな意味が
含まれていると理解されている』

“Every act, natural phenomena, and
other influences were considered to have both physical and
spiritual implications”。
別の説明では、Wairuaを
 『存在と命の源』
“the source of existent being and life” と説明している。

ここで注目するべき点は、
マオリの世界観、宇宙観、人間の身体観の根幹では
人間の命も、動植物の命も、万物に
物理的な存在としての側面と
その中に宿る意識としてのエネルギーの両面が
根本にある。
物理的な世界と
目には見えない世界を結ぶエネルギーを
Wairua:Spiritとして説明していることである。

Wairuaは、
人間が夢を見ている時は、肉体から離れているとされ
人間が身体的な死を迎えると
体を離れて戻らないと考えられている。

興味のある人は、上にリンクが張ってあるので
原典を読んでみてくださいね。


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生命の火としてのMauri(マウリ)

マオリの哲学の二つ目の柱は
肉体としての生命の火としてのMauri(マウリ)について。
マオリ語では
MauriはSoul=魂として訳されることが多く
お腹の中心に宿る生命の火であり
私たちの肉体を動かすエネルギーの原動力でもある。

mauriというマオリ語は
ma=結びつく。結びついたもの。
uri=子孫、下降したもの。
  目に見えるもの、見えないもののすべてという意味の言葉から成り立ち
目に見えない世界のエネルギーと見える物質の世界を
結びつけて、この世の中での肉体を動かしている力でもある。

マオリの言葉でMaruriは
時として、村や集落の境目にその集団の
繁栄を願っておかれる設置されるものも
マウリと同じ言葉で呼ばれている。
このMauriは、
人間がこの世に存在する受精の瞬間から
意識が肉体を離れる瞬間まで
体に常に存在している力であると
理解されている。

ここで興味深いのは、
Mauriのuriが『子孫』を表す言葉であると同時に
高い次元からの降下の意味もあることだ。

マオリ語のSpiritにあたるWairua(ワイルア)が、
万物を存在させるいわば源のエネルギーである側面と
個性をもってユニークな存在として
この世界に存在する個別、
物理的な存在としての両面を持っていることは
先に説明した。

また、
マオリ語のSoul(魂)にあたるMauri(マウリ)は、
すべてがつながって一つであるという源のエネルギーから
個別の意識へと『降下』してあるいは
枝分かれた子孫として
個別性をもった『魂』であるという考えとも通じるのだ。


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本来の自分への回帰への第一歩

マオリの伝統療法のことを、RongaMaoriという。
これは、
ハーブやマッサージの個別の知識や技能を超えて
人間の存在や、魂と生命を生かす根幹の宇宙のエネルギーを理解して
本来持っている相互作用を取り戻すことを促す哲学だともいえる。

Emmaは、
『世界的な”感染症”の流行や経済情勢など
 不安な現代の世界の中で、
 RongaMaoriは、
 自分自身の存在のSovereignty(主権)
 を取り戻すことにもつながっている』
と説明する。
彼女のメッセージは、
対処療法としての植物療法ではなく、
この激変の時代に、
外側で起こされることに惑わされることなく
自分自身にしっかりと結びくこと。
そして、自分自身で人間がやってきた源の
叡智にアクセスする入り口でもあると思うのだ


マオリのSpiritとSoulについての哲学を理解したうえで
ではどのように叡智とつながるかは次の稿に続きます。
次回、
 Emmaが説明するマオリの哲学4つのうち
『Whakapapa-マオリに伝わる世界の創造の物語』
『Krakia-祈りの力。言霊の力』を説明し
 どのように人間が本来持つ叡智につながるかを
 説明したいと思います。
 お楽しみに!

最後まで読んでくださった皆さん。
どうもありがとうございました。

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