ふと思った 将来これを見てニヤリとしよう
突然だが、私には好きな言葉がある。大学生の時に出会って私の人生の軸のようなものになっている言葉だ。
「他人の人生に影響を与えてこそ、価値がある」
これは元メジャーリーガ、さらに言えば黒人初のメジャーリーガーになったジャッキーロビンソンが残した言葉である。
彼が残した言葉は多々あるが私にはこれが一際響いた。
私は中学生の頃まで自ら何かをしたいと思ったことはなかった。学校に行き授業を受けて友達と遊んで話して、家に帰って宿題をして・・・という普通の生活をしていた。その生活が苦しかったわけではない。友達にも恵まれていたし旅行に連れて行ってもらったりもしたし、何よりその年まで不自由なく育ててもらっている時点で幸せ者だったに違いない。
中学生の時、厳密には中学2年生の冬に初めていわゆる深夜アニメというものを見た。それまでもアニメは見たことがあった。ドラえもんやクレヨンしんちゃんとか、子供なら誰しも見るであろうアニメをそれなりに見ていた。その時に出会ったのが「花咲くいろは」というアニメだった。
いわゆるお仕事ストーリーというものだろうか。女子高生が旅館で働きながら様々な思いと出会う、青春物語だった。私は中2にしてその世界観、ストーリー、声優さんの演技など、そのアニメに含まれるあらゆる要素に衝撃を受けた。ちょうど冬休みだったこともあり、夜更かししながら宿題のお供に一気に見た。
その時からだろうか、物語に特別な感情を抱くようになったのは。それからアニメにハマりたくさんの作品を見た。そしてアニメだけに飽き足らず小説やライトノベルなども読み出し、とにかく物語に触れる時間がその時の私の人生の大半を占めていた。そんな生活を続けて高校1年生になった頃、自分も世の中に見てくれた人の心を動かせるものを残したい、と思うようになった。でもそれはうっすら思っていただけに過ぎなかった。
しかし高校2年の夏くらいから勉強しかしなくなり徐々に物語から離れていってしまった。勉強は得意ではなかったが嫌いでもなかった。レベル上げをするような感覚で、知らないこと、出来ないことを知る、できる感覚を楽しんでいた印象がある。そのまま受験勉強にシフトチェンジしたため一層物語とはサヨナラしてしまった。
そして大学生になり、先述した言葉に出会った。その時に思い出した。そういえば、何か残したいと思っていたことがあったと。そしてその時に私の物語に対する情熱が再燃した。しかしいざ書きはじめてみるとなかなか自分が思うように書けなかった。大学といっても暇ではなかったため時間を理由にしていつかやろういつかやろうと引き伸ばしていた。
大学を卒業して就職を経験して今、強く思う。書きたい、残したいと。このままやりたいことをせずにずるずる生きていくのはもうやめようと思った。時間がないだのうまくいかないだの、誰も見てくれないだの、あれこれ考えるのはやめた。書き始めないと、物語は始まらない。そして去年の夏から本格的に物語を書きはじめた。
今はまだ何も残せていないただの作家志望だからこそ、将来この文章を見てニヤリとするために小っ恥ずかしいことを晒しておこう。大丈夫だ、この文章を見ている人なんていない。将来「え、過去にこんな文章書いてたんですね、ウケる」って誰かに言われるくらいがちょうどいい。それでいい。きっとそうだ。
”近い将来、必ず見てくれた人の心を動かして、心震わせられるような作品を残す。誰かの人生に影響を与える”
あ〜あ、言っちまった。というか書いちまった。まあ、あとで消そうと思えば消せるんだろうしこんなものに実質意味なんてないのかもしれない。けど、書いているこの時間、この瞬間のことを忘れたくない。それにこれを書いている今ですら気持ち悪い微笑を浮かべているのだから、これでいい。楽しいんだ、きっとこれが。
ここで書くときは自分の気持ちに正直に楽しさだけを求めて筆を取ろう、いや、キーボードを押そう。
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