見出し画像

【ドラマ月22時】春になったら 第二話

第一話で、父・雅彦の病気の事実を知った瞳。なんとかして治療を受けてもらおうと試みるが、何を言っても雅彦は首を縦に振らない。婚約者の一馬と話をした瞳は、雅彦がたった一人で癌という現実に向き合い、受け入れていったことを思い、心を痛める。それでも雅彦の決定に従い、父を失うことをどうしても認められない瞳は、結婚の話を進め心配をかけることで、雅彦に生きる理由を作ろうとする。しかし、それも上手くいかない。そんな中、雅彦は「死ぬまでにやりたいこと」を書き、瞳に見せる。その中の一つの項目として、二人で伊豆に出向いた二人。海を見ながら互いに話をする二人は、お互いの本当の気持ちを打ち明け合って……。

「瞳の結婚を心配に思う限り、雅彦には生きる理由ができる」
結婚に反対するなら、治療を受けて、と結婚と治療は交換条件として提示されているはずである。にも関わらず、瞳は父に結婚を認めてほしいと願う。それは、雅彦にも祝福してもらって結婚したいという瞳の願いであり、切実な思いでもある。
一方で結婚は認めないけど、だからって治療を受ける気にもならないという雅彦の頑なな思いにも本当の理由と父としてのプライドがある。伊豆の海辺、二人きりの場面でそれが明かされるときには涙なしでは見られないほど、こみ上げるものがある。
二人の確かな思いと愛情、絆があるからこそ、何を選べばいいのか、分からなくなっていく。明るい笑顔の絶えない二人に重くのしかかる切ない現実が、柔らかく展開していく。

第二話の中には、みかんを差し出し「食べる?」「食べる」という息の合ったやり取りや、瞳に起こった辛い出来事、父と母の出会いなどさまざまな親子の場面が登場する。なんでも話せる気の置けない間柄だからこそ、改まった話はしない。そういった親子の距離感が繊細に描かれていた。それでも人を笑顔にするお笑い芸人かずまるくんを選んだ瞳は、いつも父と笑顔の絶えない生活をしていたのかもしれない。雅彦と瞳の関係が、平凡で当たり前でありながら、温かくて明るいものであったことを知る第二話となった。

この記事が参加している募集

テレビドラマ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?