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1人でウィンドサーフィン体験にいった話

約1年間。
ウィンドサーフィンなるものの存在を知ってから、絶対やりたい、この夏は絶対やるぞ、と思っていたが、
まわりの誰を誘っても真夏の海に興味がなく、自分自身暑さに弱いので、1人で行くのをかなりためらっていた。
知らない場所で知らない人と、やったことのないことをするというのは、どう考えてもなかなか勇気がいる。そんなことをぐるぐる考えていたら、あっという間に7月が終わり、8月まで終わっていた。


途中、レンタルおじさんやレンタル友達の方に頼んで一緒に行ってもらおうかなと真剣に悩んでいたが、
私の心の師である天竜川ナコンさんの「縛り旅3」を見ていたら、「やりたいことはテメェ1人でもやれ」という彼のいつものメッセージが私の魂に改めて届き、私は迷うことをやめた。
「結局、やらないと何も始まらねぇ」、そうだよな。やりたいなら、やれ。それだけのことだった。

(※縛り度3は傑作なので、それはまた別の機会に良さを語らせてください。)

遅刻するのがイヤなので早めに向かった所、どう見ても自分とは別の人種の、日常生活ではあまり話をしないタイプの、キラキラした男女が建物前にわんさかしており、正直めちゃくちゃ怯んだ。
怖過ぎて一回わざと通りすぎて、ひとりで海を見つめた。
多分、私にとっての難所は、スポーツそのものよりも、こう言った「自分とはかけ離れた人間のコミュニティとの関わり」なんだ。

友達といるとあんまり気にならないけど、こうして1人で現場に来ると、本当に他人が怖くてならない。距離感の教科書が欲しい。

でも、お金払ってせっかくここまで来たんだから、ここで怯んでも仕方ない。私は心を無にしてスクールの門を叩いた。

そこから先は早かった。
グループに分かれて説明を聞いた。
一回り年下と思わしきカップル2組と私(おひとり様)は、自己紹介と、何がきっかけで今日来たかをお話ししてくださいと言われて、もうこれが本日の1番の難所だなと思ったけど、持てる限りの社会人パワーで当たり障りのないことを言って乗り切った。

初めましての人に、本名で自己紹介したの久しぶりだった。いつもインターネットで知り合った人と会うことしかないから、「寿マーガリンです」と名乗ってるし。
私の本名はやけに長いので呼びづらく、一方、海の男達は自分のことを「〇〇って呼んでください♪」と昔のあいのりばりにキャッチーな自己紹介してくるので、対比がすごかった。真逆の属性値。陽キャランド1番地1丁目 feat.インターネットランドTwitter島出身 陰キャ1番の1 。かなり新鮮な気持ちになった。

35年も同じ「自分」というコンテンツやってると、いつも同じことをしがちなので、たまには真逆の村へ遊びに行くのも悪くない。と言うか、そう思いたい。
祈りに近い気持ちを胸に隠しつつ、明るく可愛いカップル達と海へと向かった。

一応言っておくけど、私は運動神経が悪い。
体育は2しか取ったことがないし、団体競技が一切できない。ドッジボールやバレーボールの授業を思い出すと吐き気がする。そんな私でも、スノーボードだけは好きだった。理由は簡単。滑れるようにさえなれれば、人の足を引っ張らずに済むからだ。

朝一番に1人で山に行き、1人で滑る。昼間にビールを飲んで下山し、温泉に入って帰る。
私はそういうスノボが好きだ。

運動神経が悪くても、人の迷惑にならないなら運動はいつも楽しい。私は決して運動が嫌いなわけではないのだと思う。(団体競技が出来ないだけで。)

その点、ウィンドサーフィンはかなり近しいものを感じた。思ったよりすぐに乗れたし、帆に風を掴むと、面白いくらいグングン進む。

進み過ぎて戻れなくなって、「降りて歩いて戻っておいでー」と先生に言われ、なんとなくボードから降りたら全然足がつかなくて死ぬかと思った。(私はカナヅチだよ)

どうにかこうにか暴れて浅瀬に戻ってきたと時、「自分から苦しいことに突っ込んでいくのって楽しすぎる!!」と思って笑いが止まらなくなった。

雪山でも同じことを思った。昔、白馬のパウダースノーに埋もれて起き上がれなくなり、初めて「死」を感じた時からずっと、私はスノーボードが好きだし、今日、まさに同じ調子でウィンドサーフィンも大好きになった。


口に入った塩水が辛い。
鼻の奥にも突き刺さる。
足をバタバタさせてもちっとも進まなくて、
絶望的な直射日光が肌という肌を焼きに来る。
そんな中で、
何回倒れても、自分の力で起き上がって、帆を張って、風に乗る。
どこに進むか、自分で考えて、自分の足で立って、進む。

あーーんもう、人生人生人生ッッ!!!!!!(狂)

何回だって挑ませろ!!!
めっちゃ生きてやる!!!!

という気持ちになる。

人間って不思議だ。
なんでわざわざ好き好んでこんな苦しいことして、明日身体バキバキになるのわかってるのに。他の人と比べたら私なんて下手of下手なのに、日焼けだってしたくないし、陽キャの群れの中で違和感はすごいのに。でもなんでこんなに楽しいんだろ。全く意味わかんないな。生きるのって楽しいね。


1日があっという間だった。

指先がふやけて、ジェルネイルは欠けちゃって、脚はクラゲに刺されて、体力ゲージは底をついている。帰りのバスからすでにぐったりしていたし、電車の中で爆睡した。

引かれるかもしれないけど、
私は路線バスに1人で乗ったことがない。(人と一緒ならある)
閉所恐怖症を拗らせてパニック障害になり、バスも地下鉄も乗れなかった時期があって、その名残りで今でもバスが怖いのだ。笑っちゃうよね。

でも、今日初めて1人でバスに乗った。その時点でかなり不安だったし、私にとっては大冒険だった。
思ってたより簡単に、普通に出来た。
ウィンドサーフィンだってそうだ。思ってたよりは普通に、決して上手くなんかないけど、思っていたよりは普通に乗れた。
出来ないことなんて何もない、怖がることなんか何もないと、久しぶりに思えた。

やってみたいなと思ったことを思いっきりやれて、達成感がすごい。

思ってたより9月の海はあったかくて、
水平線の向こうにはまだ入道雲が浮いていた。

計画ばっか立ててても、こういう事実には気が付けなかったな。
クラゲの刺したピリピリした痛みすら、今日はなんだか誇らしい。

次は普通のサーフィンもやってみたいし、SUPもやってみたい。
あと、普通に浮き輪でぷかぷか浮かぶだけの、海水浴もしたい。
35年も生きてきたのに、私、まだまだ沢山やったことがないことがある。
全部、全部やるまで生きるぞ!!!!

例え一人でも、やりたいことがあるなら、どんどんやろう!!


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