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好きな男の為に飯を炊くことしかできない

そりゃ私だって、めちゃくちゃ強い剣士になって富岡義勇の片腕になれたら素敵だと思う。

水の呼吸を極めし継子になって、背中を預けて共に戦い、義勇の不安や迷いさえ断ち切ってあげられるような、男勝りなおもしれー女になって「隣の席」に座れたら最高だって思う。

でも、それはできない。私は鬼殺隊に入隊することはできないし、武の道を極めることもできない。コミュ力もないからしのぶちゃんに負ける。現実世界に鬼がいないとは言い切れないが、首を切り落としたら私は殺人罪でお縄になってしまう。そして非常〜〜〜に残念なことに、この世界に富岡義勇はいない。

要は、私は義勇のことが好きだけど「隣に立つ女」にはなれない、ということである。

伊黒さんを愛した蜜璃ちゃんは正しかった。素敵な殿方と肩を並べる為には、自分がまずそれに等しく素敵なパワーを持っていなければならない。バリバリ稼ぐ男と結婚したければ、自分がバリキャリになるのが一番早い、みたいな感じだ。「強い殿方と結婚する為に自分も強くなる」という思考は正しいと思う。世の真理をついている。

しかし、私にはそれができない。義勇の為に今、武の道を極めるのはさすがに時代錯誤。無念極まりない。だから今の私にできることをしようと思う。

それはもう、義勇の大好物である「鮭大根」を作ることしかなったのである。

日輪刀、否、包丁をぎゅっと握る。LOVEの呼吸、壱ノ型「煮物の大根は絶対面取り」。夢女の呼吸は浅い、斬撃も浅い、でも身勝手な愛情だけは沼の鬼より深い。

好きな男の為に飯を炊くことしかできない。悔しい。夢女はいつだって飯炊き女。決して幸せにはなれない。夢の中でしか幸せになれない。心は幼女のまま。幾つになっても夢を見てしまう。相手の年齢が自分より年下になってしまってもやめられない。でもおかげで料理のレパートリーだけは増えていく。違うな、言い換えさせて欲しい。ありがとう。世の漫画家たち、キャラクターの好きな食べ物を設定して欲しい。その一つの情報だけで、幸せになれる人種がこの世には確かに存在しています。ありがとう。

好きな人を思って作る料理は最高だ。クソみたいな日常がちょっとだけ夢を帯びて、次元の壁が曖昧になっていく。夢見心地だぁ〜はまさにこっちのセリフ。電車乗ってウットリしてんじゃねえ、こっちは夢見る為に必死んなって大正時代の事調べてんだよ、義勇の出身地は東京都 豊多摩郡 野方村!!!!現在の中野区野方!!!意外とシティーボーイだね!!!

「大正時代の味付けってなんだよ」と、私は思った。

鬼滅のグラブルコラボのボイスの中に「この世界の食事は、俺が慣れたものとは味付けが違うから、難しいと思う・・・」という義勇のセリフがあった。

そんなこと言うなよ義勇。お前の食べ慣れた味を私は知りたいんだ。難しいだなんて言ってくれるな。そう、ないなら作ればいい、作って見せよう、大正時代の鮭大根…!!

ということで、落ち着いて考えてみる。
大正時代でも鮭は鮭だし、大根は大根だ。おそらく味付けの違いを生み出すとしたら、味のべースとなる味噌になるだろう。
果たして現代の味噌と何が違うのか。気になって調べたら、明治時代から続く味噌屋さんが中野区にあった。

あぶまた味噌

あぶまた味噌は、1885年(明治18年)初代目飯田又右衛門が東京中野で創業し、以来百年にわたりみそ造り一筋に江戸味噌の伝統を受け継いでいます。

これだ・・義勇の食べていた鮭大根の味噌は、絶対これだ・・!と確信した私はソッコーで商品をポチった。
三越伊勢丹オンラインこちら

文明の力、最高。感謝するぜ、現代の世に生まれた全てに・・・

恐らく、義勇の食べていた鮭大根はこの「江戸甘味噌」で味付けをされていると思われた。

米こうじをたっぷりと使うことで特有の甘みを出しており、一般的な味噌より塩気が少なめだ。作り方は創業当時と変わらず、人工甘味料も不使用。つまり、今こうしてネットで味噌を購入しても、大正時代に義勇の食べてた味付けを再現することが可能となっている。

ジーザス。

どうやら大正時代の味噌は、一般的にこういう黒っぽくて、甘めの味付けがスタンダードだったらしい。義勇はちょっと幼女みたいなところあるからな(食べ方汚いし話しかけてもらうだけで嬉しいって思ってるし)、意外と甘いもの好きなのかな。はぁカワイイ・・・

ちなみに大正時代は「浅田味噌」という屋号だったみたいです。義勇、お遣いとかで行ったことあるかな。あるといいな。うん、あるだろうな。

そうであれ。

まぁそんなこんなで鮭大根を作ってみた。とても美味しかった。可能であれば義勇に作ってあげたかった。あったかい部屋でぬくぬくしてて欲しかった。好きなもの食べて温泉とか入って、仲間たちとキャッキャして欲しかった。宇髄さんに面白がって遊郭に連れて行かれそうになったり、煉獄さんと焼き芋焼いたり、不死川さんにおはぎを買って行ってムフフって笑って欲しかった。

映画をみてから鬼滅の刃にものすごい勢いでハマって、多くの人と同じように全巻まとめ買いをした一人なんだけど、最終巻を読んだ時は胸がいっぱいになって、三日三晩泣いた。漫画を読んでこんなに泣いたのは、間違いなく鬼滅が一番だと思う。(二番目は宇宙兄弟、三番目はハガレンです)

ラストに向かって行くほど、義勇の心理描写というか、表情を抜かれるシーンが多くなって、いつも冷静で全てを凪ってる義勇が、戸惑ったり驚いたりしている様を見ていたら、感情移入しすぎて義勇のことを大好きになってしまった。人間味のなかった人が、人間味を帯びていくの大好き芸人なのかもしれない。やっぱり好きな人には笑ってて欲しい。そういうものだよな・・・(夢女・・・・・)

そして義勇の鮭大根同様、不死川さんの食べてたおはぎはどの店か、エリアを絞って大正時代から続いている甘味処を調べてみたり、煉獄さんに想いを馳せながら冬のキャンプへ行って山の暗闇に想いを馳せたり、義勇と釣り合うのはやはりしのぶちゃんだなーという自己解釈故に、インナーカラーを紫にしてみたりと、2020年の後半は鬼滅のことばかり考えていた。いっぱいまとめておきたいことはあるけど、とりあえず義勇のために鮭大根を作った、という思い出をここに残しておきたい。鮭大根はウマイ!大正時代に想いを馳せながら、ぜひみんなにも作ってみて欲しい。

雑ですが、レシピは下記の通りになります。ご参考までにお役立てくださいませ。


肝心の味噌の部分、写真撮るの忘れとるやないかーい!!!

ごめんね、でも、全ての夢女に幸あれ・・・

このお金で一緒に焼肉行こ〜