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短編小説

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#私の作品紹介

短編小説 「蝶たち。空気のような...」

「むかし乗ってたんだよ、セルシオ。初代の」 おっさんは唐突にそう言った。 きっと目の前を…

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短編小説 「刹那の太陽」

夜8時、バーでグラスを傾けていた。 客は俺とスーツ姿の男だけで、カウンター席の両端に分か…

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短編小説 「僕の愛した街」

心から街を愛していた。 きっと、誰よりも深く、誰よりもまっすぐに。 街はいまどうなっている…

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短編小説 「てまえどり」

時計の針が12時を差した。 克哉は待ってましたとばかりにノートパソコンのディスプレイを手…

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短編小説 「案件仕事」

半年前にブログにUPした短編小説が、先月地方の文芸誌に転載された。 そしてそれをきっかけに…

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短編小説 「本当の話」

ポニーが潰れた。 うちの近所にあった喫茶店の話だ。 初めてポニーを訪れたのは3年前の秋の昼…

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短編小説 「5%の女」

10余年住んだ部屋を解約した。 ついさっき運送屋が荷物を運び出したところで、いま不動産屋の女がふたり、部屋の状態を確かめに来ている。 女のうち、ひとりは30代後半ぐらいの痩せ型で、もうひとりは学生みたいに若く見えるぽっちゃりだ。 部屋に入って間もなく、痩せ型のほうが揶揄うような調子で言った。 「壁がだいぶイっちゃってますねぇ。お煙草吸われるんですか?」 「ああ、吸うよ。お煙草」と俺は答えた。 痩せ型はなにも返して来なかった。 ぽっちゃりは突っ立ったまま、じっと空気を見つめ

短編小説 「とりあえず異世界」

異世界は空っぽだった。
 どろどろになりながら、やっとの思いで辿り着いたというのに。 大袈…

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短編小説 「急募!! 女性求人」

穏やかな秋の午後、わいはリビングで物思いに耽っとった。 部屋の真ん中に置かれたテーブルで…

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短編小説 「ねこ」

ある雨の夜、娘が野良猫を拾って来た。 白と茶色のブチ猫だ。 間違いなく雑種だろう。 猫の品…

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