その半歩からぼくは勇気をもらっている
3人でのトイレ介助。
ひとりは補助、ひとりは尿取りパッドの交換、そしてぼくは正面から利用者さんを抱える。
デイサービスでの身体介助で3人で介助することはほとんどんない。個別の介助に複数人で対応すると、その時間見守りの人数が手薄になるからだ。
脳梗塞の後遺症で、上肢・下肢に麻痺があり足にはほとんど力が入らない。体格のいい男性で体重は60キロ以上ある。
女性が多い介護現場で、60キロを抱えるのは転倒のリスクや腰痛のリスクもあるので、そういった力が必要な介助は、ぼくはなるべく率先してやるようにしている。
別にいいところを見せたいとかではなく、女性が得意な介助もあれば男性が得意な介助もあるという役割分担だと思っている。
おそらく介護職の経験がある人なら、ベットに寝かせた状態で下着の交換をすればいいと思う方もいるだろう。
でもあえて座位から立位という形をとってトイレ介助をしている。これはリハビリも兼ねたトイレ介助だからだ。
ぼくは感動のご対面かのようにその利用者さんに抱きつき、体重のほとんどを支えていた。利用者さんの踵は少し中に浮いている状態だ。
前後に足を開き、足の筋肉を使って支えなければ腰がやられてしまう。毎日スクワットをしていて多少なりとも筋肉には自信がある。とはいえ、
「焦らないでゆっくり交換していいですよ」とパッド交換役の職員に声をかけながらも、ぼくの眉間には皺が寄っていた。
でも「一番頑張っているのは利用者さんだ」そう思うと、力が抜けないどころかどこか勇気が湧いてくる。
これは綺麗事なんかじゃなくて、これを「やりがい」というのなら、多分そうだろう。
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