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【エッセイ】期限過ぎて出しそびれたエッセイを埋葬するnote@おいしい記憶

やっちまった。

公募の期限、過ぎてもうてた。

推敲5回。期限ギリギリまで見直しているから、
こんなことになってもうた。

期限、勘違いしてもうてたぁー!痛恨のミス。

申し訳ないけれど、この場を借りて成仏させてもらえないかな。

書いたことは無駄じゃない。

無駄じゃないんだけど、結果が発表されるまでのドキドキ感を味わいたかったな。

公募の楽しみって、創作中も創作した後もあるのよね。

きみも公募にチャレンジするなら、作品の出来うんぬんの前に応募だけ忘れないようにした方がいいよ。

応募しないとノーチャンスだから。

さて、今回はただエッセイを乗っけるだっけじゃなく、
初稿と推敲あとの文章を乗せて比較してみようかなって思う。

まずは初稿から


初稿

  • ※ちなみに初稿の段階では、構成・文字数(規定1,200字)・誤字脱字は気にせず書くようにして、書き切ることを目標にしてるよ。

  • Word・縦書きで書いてる。実際の原稿は字下げしてる。文字数カウントや誤字脱字チェックの校正機能も使ってる。

無題

毎週のように通っていた店なのに。常連との取っ組み合いをしたからもう二年は行っていない。他の店に飲みに行くことが考えられない。酒はいつしか飲まないでもやり過ごせるようになった。

「やっとる!」と、廃材のような木製の板に書で殴り書きされた看板。入り口は古びた木製の扉で外からは店内を覗くことができない。店外の人にメニューを知らせるボードなどもない。店主は客を招き入れようなんて思っていないだろう。店に入ってみなければ、どうにもわからない。

会社の近くにある、前から気になっていた立ち食いの寿司屋。その入りにくさから、僕は数週からひとり店の前を彷徨っていた。なかなか店に入る決心がつかない。無責任に同僚を誘うわけにもいかない。
もちろん食べログで検索した。星が四ついていた。入りにくい店と星の数は名店の方程式だ。その証拠に、店の前には客が列をなしている。 

ある金曜日、会社に残って働く同僚を尻目にしてきた勇気を纏ったまま、僕は店の扉を開いた。
「いらっしゃい!」とは言ってるものの「知らねぇ顔だなぁ」と言わんばかりの目つきで大将は僕を見てきた。カウンターに横並びしている常連らしき客たちの目線も、決して温かくはない。
店内は奥行きのあるワンルームマンションといった広さ。空間を縦に割るようにカウンターがある。椅子はない。カウンターに立つと、後ろは人がひとりやっと通れるくらいで、隣の客とは肩が少しぶつかる。通勤電車で吊り革を持っているような感じだ。
カウターの向こうには大将が鎮座している。細身で坊主、歳は五十歳くらいだろうか。
大将は「酒とつまみから」掠れた声でぶっきらぼうにそう言って、一瞬だけ僕に目線を送りまたまな板に目を落とす。
目線と同じ高さにあるホワイトボードには、その日に書かれたであろう肴の名前が書いてある。
「赤星とイカ、あとタイでお願いします」僕は即座に目に入ったものを注文した。悩んで変な間を作ってしまうことを直感的に恐れたからだ。
「あいよ」とだけ。赤星ビールは自分で冷蔵庫から取り出すのだと、隣の常連が教えてくれた。ビールグラス注ぎ、一口飲んだところでイカとタイが大将から差し出された
「味ついてるから、そのままどうぞ」
刺身を食べる時、醤油は垂らす程度にしかつけないのだが、ここの刺身はつけないでいいらし。一応テーブルに醤油は置いてある。でも絶対につけないほうがいい。これは直感に従うまでもなかった。
刺身を口に運ぶ、職人の繊細な醤油の加減が口の中で広がり、後味が舌に思い出を残していく。
「かぁ」
思わずため息がでた。ため息がでる食事をした経験は、今まで数えるほどもなかった。すぐさまビールを流し込む。一週間が報われたきがした。
もう箸と酒が止まらなくなる。焼酎に変えもう二品つまみを注文した。
「そろそろ握り行くかい」大将がニコっとしながら聞いてくれた。
「本マグロお願いします」
「特別によ、赤シャリで握っておいたからよ」美味すぎて、涙がでそうだった。

 会計を済まし店を出る時大将が「にいちゃん、いい飲みっぷりだったからまたおいでよ」と言ってくれた。常連たちも微笑ましくぼくをみてくれていた。
その脇で新しく入ってきた客がいた。「ごめんよ、いま席空いてねーんだわ」ぼくが今から店を出るので入れるのに、入店を断っていた。選ばれる店は、客を選ぶ店なのかもしれない。

店の味は店の雰囲気と客、大将の存在によって成り立っていた。

おわり

1,401文字

行きつけだった「立ち食い寿司屋」の話をエッセイに

もう、大好きすぎて毎週通っていたお店と大将の話。

週末ひとり、このお店にいくことが楽しみで仕事をしてた時期があって。寿司屋の大将にも散々可愛がってもらって、プライベートで飲みに行ったりもしたし。

これはコロナ前の話で。コロナ始まってから行けなくなってしまった。介護職員だから自重しなくちゃなと思ってさ。

それで、コロナが落ち着いたころ顔を出しにいったんだけど、今度は常連の人と取っ組み合いの喧嘩してしまって。

その時の話がこれ ↓

もともとぼくは、結構な酒飲みだったのね。

コロナ禍で自宅自粛中の時なんか、角瓶を冷凍庫でガンガンに冷やして、グラスも冷やしてウィルキンソンも冷やして「自宅で飲む一番うまいハイボールはこれだ」なんて、1日で瓶の半分は飲んでたし。
ビール・いも焼酎・日本酒・ワイン、なんでも飲めるし。つまみもナッツから蒙古タンメン中本(インスタントスープ)野菜炒めを作るほど、呑兵衛だったのよ。

でもね、

店で常連と喧嘩になってから、なんかもう「お酒はいいかぁ」みたいな感じになってしまって、いまはもう飲んでない。もう、飲まないかな。多分。

ということで、このエッセイは、

ぼくの酒呑みとしての「辞世の句」でもあり、レクイエムエッセイなのだよ。アルコールエピローグなのね。

というわけで、ここからは推敲を重ねた本編。

内容は大きく変わらないけど、ところどころ変化しておるのよ。

では、どうぞ。

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