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介護劇場

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高齢者が主人公。振り回されるぼく。介護・介護現場ので起こる出来事をおかしく描写して感じたことを綴っています。
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#認知症介護

ぼくの倍、人生を生きている方々

マタギ 日本料理店のオーナーシェフ その道40年のツアーバスガイド サッシ職人 日本舞踊の…

のこった記憶

その人は、ぼくの顔を見るなり不適な笑みを浮かべて口をひらく。 「あいつが来る」「あいつに…

食事介助の攻防の果てに

「ご飯たべましょう」といって箸を持たせようとすると手を払う。 ならば少しでも栄養を摂って…

もぬけの殻のベット

え?!Kさん!どこにいった! いつもの部屋にKさんがいない。そこにベットはあるものの、シー…

腹に5つの傷を持つ男

「おなか見てみろ。へそが5つあるだろ」 背中を流していると、その人は得意げに話しかけてきた…

床にへたり込みーの

床にあぐらをかき、へたり込んだ。 「しんどい。疲れた。」 その人に話を聞くと、かすれ声で…

「どけクソババァ」というアイデンティティー

「うるせぇコノヤロー!バカヤロー!」 玄関の前に到着した車の助手席から窓越しに聞こえてくる怒号。 今日の体調が伺える。絶好調のようだ。 朝の挨拶は人によって様々でいいと思う。 「ご機嫌麗しゅう」でも「どけクソババァ」でも、朝、相手に対して言葉をかけることが大事なのだ。挨拶の良し悪しは受けてに委ねられる。僕はその人の挨拶を面白がっている。 威勢のいい挨拶を聞いて、僕は助手席のドアを開けた。 競走馬のごとく勢いよく飛び出すかと思えば、足元は赤子のようにヨチヨチだ。背丈は僕の

体重計に乗らない足

足を上げる。 足を下ろす。 下ろした足を、体重計に乗せてほしい。 もう一度「足を上げて、そ…

朝イチのテンション

介護現場では、朝イチのテンションがとても大事なのである。 介護職員のテンションではなく、…

僕は、股間が便まみれの男の前に座る男だ。

個室に男三人。 便座に座っている男は、股間が自分の便でまみれている。 その男の目の前に座…

気持ちが体を動かしている。

「わたし今日は何もできないからね」 「ベット空いてないの?横になりたいんだけど。しんどい…

カタギじゃないのよアナタは〜

お風呂場では、普段聞けない話が聞けることがある。 その人は僕にとって父親にあたる世代の方…