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恋ジャズ #16「川面の月~ Moon River ~」

ゆらりゆらりと揺れて滲む、
少し歪な川面の満月。
まるで私たちみたいだと思った。

日毎に月が満ちていくように
ゆっくりと膨らんでいった恋心。
けれどそれが、美しい満月になることはなかった。
あなたには守るべき人がいて、
私にも寄り添う人がいた。
だから、月は歪んで、
いつまで経っても満ちることはない。

夜毎に月は欠けていくけれど、
あなたを思う心は形を変えることはなくて。
歪なまま、ゆらりゆらりと揺れて滲む。
あなたには帰る場所があって、
私にもやさしく包む腕がある。
だけど、見上げれば今夜も、
月は黙って私たちを見おろしている。

欠けることも、満ちることもない川面の月は
それでも消えることなく、
ゆらりゆらりと夜に濡れる。
まるで、不確かで曖昧な私たちみたいに。

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