![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/80872612/rectangle_large_type_2_8a060722c920877d7e7b2adfccd49eaa.png?width=1200)
恋ジャズ #8「ハッピーエンドをキミに~I wish you love~」
キミが笑う。
少し寂しそうに、少し苦しそうに。
「物語の終わりは、ハッピーエンドがいい」と。
だからボクは願う。
降りしきる雪が、キミの心まで凍らせないようにと。
暖かなぬくもりが、キミのそばにありますように。
出逢いは春。
陽だまりの中で微笑むキミに、ボクは恋をした。
時が止まったみたいに、ただ、キミを見つめていたっけ。
夏はまだ片想い。
必死のアプローチも、まるでキミには通じなくて、
鈍感すぎるキミの攻略法はどこを探しても見つからない。
諦めかけた秋に、ようやく実った恋。
紅葉のように色づいていくふたりの心は、
冬の木枯らしの中でいっそう固く結ばれて。
それから幾度も、一緒に季節を見送った。
だから、こんなふうに離れる日が来るなんて、
ボクは一度も想像したことがなかった。
キミとボクに、ハッピーエンド以外の結末があるなんて
知らなかった。知りたくはなかったよ。
それでもキミが、ハッピーエンドを望むなら、
ボクは祈るよ。
青い鳥が、素敵な恋をキミに運んでくるようにと。
ボクは願うよ。
萌える緑に誘われ、幸せがきらめくようにと。
もう一緒にはいられないけれど、
隣を歩くことはできないけれど、
ボクは誓うよ。
誰もが羨むハッピーエンドをキミに贈ろう。
ボクではない、別の誰かとキミの、
終わらないハッピーエンドを。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?