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こどもと遊ぶ。ことばで遊ぶ。〜⑱メモリーカードで左右の学習〜

メモリーカードは神経衰弱だけじゃない!

前回投稿はこちら。

ダイソー「メモリーカード」の紹介

あいうえおカードと並ぶ定番カードといえばメモリーカード。同じイラストのカードが入っています。

動物以外にも乗り物や食べ物があるよ

このメモリーカード、みなさんならどう使いますか? まっさきに思いつくのは神経衰弱やババなしのババ抜きでしょうか。もちろんそれもOK。日本語と英語の単語が書いてあるので、英語の勉強にもいいでしょう。

ルールが単純な記憶遊び・神経衰弱

ですが、子どもの認知やことばの発達を促したい言語聴覚士の私は、これを左右の学習に使います。左右の理解が進むのは4歳あたりからと言われていますので、年中さんや年長さんに取り入れることが多い遊びです。

メモリーカードで左右を学ぶ

「動物マンション」遊び

メモリーカード以外に、手書きでかまいませんので以下のような紙を2枚用意してください。また、間を仕切る衝立のようなものも必要です。

写真は2×2マス。左右をこれから学ぶ前提なのでイラスト付き

このマスを、マンションのお部屋に例えます。1階の右のお部屋、2階の左のお部屋、という感じです。

遊び方は以下の通り。

  1. 大人と子どもで向かい合って座り、紙を1枚ずつ手元に置きます。間に衝立を立てて、お互いが見えないようにします。

  2. 同じメモリーカードを最小で1枚、最大で4枚配ります。

  3. 大人が「1階の右のお部屋にクマさんが住んでいます」などと問題を出しながら、手元の紙にカードを配置します。子どもは聞いたとおりに同じくカードを自分の紙に配置します。

  4. 衝立をはずして答え合わせをします。

大人のことばを頼りに、カードを配置していくよ

発達を支えるために大切にしたい、プロンプトという考え方

いきなりできるとは考えず、プロンプトを入れていく

プロンプトというのは「お助け」のこと。舞台役者さんがおぼえるべきセリフを、舞台袖からアシスタントが小声で教えてあげることをプロンプトと言うそうです。ほかにもテキストを映像に映す機械のことをプロンプターと言います。アナウンサーが手元を見ず、まっすぐカメラに向かって原稿を読み上げているときは、目線の先にプロンプターがあります。

発達を促す場合、100パーセント自力でできることを最終目標にするとして、いきなりスタートから自力100を目指したりはしません。100パーセント自力でできるまでの工程を細かくわけて、都度プロンプトを入れていきます。

この動物マンションを100パーセント自力でできるようにするために、以下のようなプロンプトや手順を使います。

最初は1×2マスで行う
この場合、右と左の2択になり、階数の情報は必要ありません。より単純な指示になります。

右と左を示すイラストを書いておく
これがまさしくプロンプトですね。

この状態からスタートします。これで100パーセントできることを確認したら、次は左右のイラストを片方だけ削ったり、2階をつけたりといった感じで変化させていきます。プロンプトはずっと入れっぱなしというわけでなく、どこかの段階で減らしていき、最後はゼロにします。減らすときもいきなりではなく、徐々に、です。このやりかたでやると、失敗することが格段に減り、子どもは成功体験を積んで、どんどんやる気がアップします。この体験が、何をやっても「できるはず!」という自信につながり、新しいことにもどんどん挑戦しようという意識を育てます。

「できることばかりで慣れていると、失敗に弱い子になる」「失敗から学ぶことも大切」などと言われることもありますが、それはもっと大きくなってからで十分です。少なくとも未就学児や低学年のうちは、「できる=楽しい=またやりたい=ほかのこともできるはず!」という単純な方程式の方が当てはまります。

ちなみに、このメモリーカード、乗り物のカードもあります。男の子には断然こちらの方が人気。「1階の右の駐車場にパトカーが停まっている」といった駐車場ごっこも楽しめますよ。

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