見出し画像

こどもとあそぶ。ことばであそぶ。〜⑮お手伝いが発達を助ける〜

愛情と勤労は子どもの発達に不可欠

前回投稿はこちら。

お手伝いのススメ

遊びの紹介をずっとしてきましたが、今回のテーマは「お手伝い」。みなさんのおうちでも子どもにお手伝いを頼むことありますよね。このお手伝い、実は子どもの発達を促す要素が詰まっていることが研究でもわかっています。発達障害の子どもたちの療育でもお手伝いを取り入れることは多いです。

ただし、無理矢理させるのは厳禁。勤労精神だけを振り翳しては意味がなく、そこに愛情が必要。突然精神論の話が始まった!?と思われるかもしれませんが、勤労と愛情はセットであるからこそ発達を助けるのです。子どもたちが「楽しい!」と思えるお手伝いであることが大切です。

ことばの発達にもお役立ちな、料理のお手伝い

一番セッティングしやすいお手伝いはお料理。手先の器用さや段取り、一般常識などを学べるお手伝いですが、ことばの発達にもお役立ち。お料理の現場にはたくさんの道具がありますよね。包丁やお鍋などはどの子も知っていますが、まな板、泡立て器、ピーラーなどは年長さんでも知らない子が意外と多いです。

お料理で使う道具の名前もおぼえられる

さらに、お料理特有の動詞は、この場面でしか学べないものがたくさん。

皮を「剥く」、お米を「磨ぐ」、鍋を「かき混ぜる」、味を「みる」、油で「揚げる」、野菜を「炒める」、クリームを「絞る」などなど。

よく知っているであろう「切る」「混ぜる」以外にも使えることばがたくさんあると、実践の中で学べます。

使うことで身に付くことば

以前の記事で、フラッシュカードは新規の語彙をおぼえるのにはそれほど向かないと説明しました。ことばをおぼえるときに重要なのが「経験すること」。新規の語彙に出会ったとき、そこに経験や行動が加わることで、語彙のネットワークはより活性化し、そのことばを自分のモノにしようと働きます。私たち大人が英単語を新たにおぼえようと思ったとき、単語帳を暗記するよりも、語彙に即した場面で使った方が身につきやすいのと似ています。図鑑やカードを与えるより、「一緒にごはん作ろう」と声をかけやってみる方が、ことばの発達を促すことになるのです。

お手伝いを嫌がる場合

お手伝いさせようと思っても嫌がる子どももいると思います。その場合のコツをいくつか挙げてみましょう。

①楽しいお手伝いを提案する

掃除や片付けよりもスーパーのお供やお料理の方がより楽しいと感じられます。さらにお料理でも、よく食卓に載るものよりは、ちょっとわくわくする食べ物の方が楽しさは増します。ホットケーキやお好み焼きなどは定番ですね。

スーパーのお供の場合、あらかじめ「人参と牛乳を探して」と買う品物を伝えておくといいかも。ちょっとした宝探しの気分です。さらに「どの人参がいいと思う?」など、たくさんの人参の中から選んでもらうのもお勧め。買った後は「この人参は○○くんが選んでくれたものだよ」と食卓でも話題にすると、子どもは誇らしい気持ちになります。

②お手伝いの時間を工夫する

「ちょっと手伝って」と突然頼むのでなく、「明日のお昼ご飯はお好み焼きを作るから手伝ってね」とあらかじめ予告しておくとよいでしょう。見通しが持てて、自分のやるべきことを事前に把握することができます。また子どもが楽しみにしているアニメの時間や、YouTubeを見ている最中に声をかけるなどはやめた方がいいです。楽しみが阻害されると、お手伝い=やりたくないのにやらされる感を育ててしまいます。

③ご褒美を用意する

「お手伝いポイント」と称したポイントカードを準備して、お手伝いをしてくれた日はシールを貼ってあげたり花丸をつけてあげたりしてみてください。10個貯まったらコンビニのお菓子、50個貯まったら映画館、100個貯まったらディズニーランドなど、貯まったポイントを何かと交換できるようにします。

「モノで釣ってお手伝いをさせるなんてちょっと……」と思われるかもしれませんが、これはトークンエコノミーといって、療育の現場でもよく使う手法のひとつです。ひとつひとつはシールや花丸など大した報酬ではありませんが、たくさん貯めると大きなものが手に入る、というのがポイント。報酬と労働の取引は、そもそも私たち大人だって日常的にしているわけですから、特に問題はありません。

なお、ポイントカードは見えるところに貼っておくのがオススメ。冷蔵庫に貼り付けるなど工夫してみてください。


この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?