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🍜ラーメン俳句王決定戦2023(その②)🍜

では、その①に続いての記事です。

選の発表を続けます〜❗️
※ラーメンフォト賞に選んだ句も、もう一度選考しています。

②ラーメン俳句ミシュラン一つ星⭐️(佳作)二十一句
※敬称略、順不同





ステーキは啜るものなり赤蜻蛉
イサク


宝石の名で呼べ小春日のスープ
イサク


塩といふ旨み秋風より来たる
イサク


麺啜る春へうなじを傾けて
川越羽流


海鮮のスープ四温のとろみかな
川越羽流


叉焼は遥かなる地よ春近し
川越羽流


ちゃんぽんの在りし昭和の日のランチ
鳥田政宗


カレーラーメン啜る鐘霞む日に
鳥田政宗


味玉の黄身のこぼれたそうな秋
コンフィ


秋麗レンゲに鶏油の泡いくつ
コンフィ


アブラマシマシてふ呪文寒波来る
朝月沙都子
※フォト賞とW受賞


ラーメンにぽかんと春の満月よ
生野薫


盛りこぼすスープの香り日脚伸ぶ
阿部八富利


立つんだと叫ぶセコンド草城忌
馬勝


あの夏の恋なら全部飲み干した
嶋村らぴ


底冷の夜や天一のスープ食む
京野さち


出張の島春昼の潮の香よ
ひでやん


若龍の髭は艶やか九条葱
トウ甘藻


こいさんと約束春の法善寺
桜井教人


ラーメン屋の列に加はり風花す
鳥取


あっさりと汁飲み干していた残暑
紅藤子
※フォト賞とW受賞


③ラーメン俳句ミシュラン二つ星⭐️⭐️(秀逸) 五句





縮れてもヒヨコのままで風光る
里山子

評:そのままポリポリ食べるチキンラーメン!商品イメージが「縮れてもヒヨコのまま」とさせたにしても、頭の中によくよく描くとヒヨコの出生までの過程を想像させられるようで、読んでみて不思議な感覚になりました。




友のゐるゲレンデ窓に拉麺食ふ
ふるてい

評:今回多かった"一人で食べる"の類想を、しっかり乗り越えている一句と思います。自分だけがスキーを滑らず、屋内で麺をずうずう啜っている情景が見えて、友人たちの騒がしさとの対比がよく効いています。




炒め野菜のざくざくと一月尽
たーとるQ

評:トッピングにクローズアップして、その食感を「ざくざくと」リアルに再現。スープに沁みて美味くなるのは麺だけじゃない、野菜もだ!との声が聞こえそう。「一月尽」の濁音も存在感と満腹感がありますね!




らぁめんの野菜やさしき三日かな
多喰身・デラックス

評:こちらの句もトッピング野菜に注目しています。「らぁめん」「やさしき」と柔らかい句調。「ya」の韻がリズミカルで、句の世界へ引き込まれます。温かな湯気に包まれる、静かなお正月の三日です。




初雪のサービスエリア拉麺来
星月彩也華

評:特別な思いのある景を思い描くと、自然と相応の言葉が一句に寄って来るもの。「初雪」のきらきらした「サービスエリア」で食べる「拉麺」。ご家族かご友人か一緒なのでしょう。最後の「来」が上手いですね。




④ラーメン俳句ミシュラン三つ星⭐️⭐️⭐️(特選) 三句



ワンタンを祀る昼月が見ている
イサク


評:乗っている「ワンタン」を愛して止まないのか、とうとう「祀る」という神事にまで発展させたくなったという。確かにワンタンは“雲呑”と漢字では書くので、神秘的な食べ物なのかもしれません。ラーメンの世界に魅せられた下界の騒ぎに、ぬっと「昼月」が顔を見せに来るところも愉快。そして破調が一句の異世界感を増長させていますね。




挫折てふ男の色気根深葱
霞山旅


評:たとえ心が折れてしまっても、ラーメンは変わらずに美味しい。まるで「挫折」というトッピングと共に食べているかのよう。「男の色気」がパワーワードで、とても魅力的な雰囲気を持つ人をラーメン屋でよくよく観察した産物でしょう。「根深葱」には肌に白い部分があって、人間にも心の弱い部分があって、それで良いのだと思える何だかほっとする一句です。




鳥雲に入るラーメンはリゾットに
ツナ好


評:一句はまず、春空へ飛び去る渡り鳥の光景。そして次に、ラーメンを堪能したあとの替えメシを愉しんでいる光景。その両場面を取り合わせることで、鳥は「雲」に、ラーメンは「リゾット」になる(入る)という、それぞれの”変化“という共通点を見出している発想が凄いです!ご飯を残ったスープに入れる感覚は、まさに天から見る「鳥雲に」そのもの。


▽そして、いよいよラストの発表…!
ラーメン俳句王は…!?



⑤ラーメン俳句王👑✨ 一句


うぐいすや里に新規のラーメン屋
朱鷺9条


評:童謡の「春が来た」が脳内に流れそうなほど、自然美に溢れた一句です。俳句は季語から入ると一句の季節感が増すように思うのですが、手堅い定石のような句型が更に季節のムードを盛り上げているのでしょう。野山の長閑な土地が見えて、「うぐいす」の声が聞こえたかと思うと風がふわりと梅の香りまで運んで来そうです。「新規の」とは、俳句にはなかなか見ないワードですが、「今度あそこにラーメン屋がオープンしたんだって!」と地域住民の喜びの声も聞こえて来そうな効果があり、読んでいるだけでわくわくしてきました。せっせとオープンに向けての準備をする(Before) 、オープンして長蛇の行列によって賑わう(Now)、食べて満足したお客さんたちが帰って行く(After)と、様々な場面が見えるのもこの句の魅力です!
ラーメン俳句王、おめでとうございます❗️🎊👏👏👏


さて、いかがでしたでしょうか。
美味しそうなラーメンと俳句を目の当たりにし、"ああ…ラーメンが食べたい!"となること必至の句会だったでしょう😆
ラーメンの奥深さは俳句に通ずる!と、
私は常日頃から思っております笑

またこのような、気楽に楽しめる句会を今後も開けたらと思います💡

長きに渡り、お付き合いくださいましてありがとうございました!
またお会いしましょう〜👋

記:登りびと

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