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「ひい、ふう、みい……」を先に覚えた2歳児

「いち、に、さん……」で10まで数えるのも若干あやしく、「ひとつ、ふたつ、みっつ……」はまだまだこれからな2歳の息子が、「ひい、ふう、みい……」という古風な数え方を先にマスターしてしまった。

Eテレの『コレナンデ商会』で流れていた『ひいふうみいで数えよう』という歌のおかげである。

ご存じの方からすると何を今さらという話かもしれないが、『コレナンデ商会』視聴歴の浅い我が家では、最近初めてこの曲に出会い、そのぶっとび具合に衝撃を受けた。

ひい、ふう、みい、よう、いつ
むう、なな、や、ここのつ、とお
これはにっぽんの かぞえかた

はじめはこんなふうに、可愛らしい童謡調のメロディーに乗って穏やかに進むのだが、しばらくすると急にアップテンポのラップ調に転調したかと思うと、ジェイさんが「Now, ladies and gentlemen! Here it comes! The Japanese count words!」と声高に叫び、画面上にはこんなアルファベットが並ぶ。

HE WHO ME YO
IT'S MOON NANA YAH
COCONUTS TOE

そして、手で空を切りながら、英単語の発音で「ひぃ!ふぅ!みぃ!よぅ!いっつ!……」とシャウトするのだ。8の後には「テレッテッテッテッテテテ……」という長いタメが入り、「ココナッツ!」という最大の見せ場を経て、「とぅ!」と着地。

そのアゲアゲな1から10のカウントを、間に「Say Yah!」「Yah!」といったコール&レスポンスもはさみながら何度か繰り返し、最後はまた童謡調に戻って、何事もなかったかのように穏やかに終わる。

いやぁ、初めて聴いたときの衝撃といったら。息子も「ん?今のいったいなんだったの?」という表情を浮かべながら、「もういっかい!」と巻き戻しリクエスト。2回目は、私が大爆笑。息子も大好きになり、それから親子で何度も聴くことになった。

この曲の作詞は下山啓さん、作曲は塩谷哲さん。オープニングテーマを含め、『コレナンデ商会』で流れているオリジナル曲やアレンジ曲は、ほぼすべてこのお二人が担当されているらしい。私は音楽についてはまったくの門外漢だが、それでも番組で流れる音楽のクオリティの高さはひしひしと感じるし、この曲に限らず、発想や着眼点がとても斬新で素晴らしいなぁと思いながらいつも聴いている。

特にこの曲は、古風で雅な大和言葉を題材にしているだけに、「ここまでしちゃって大丈夫?」と思うほどの大胆さと遊び心がとにかく痛快で、その発想の豊さにほれぼれと感動した。「既成概念なんて取っぱらって、もっと自由で柔軟な発想を持ちなさいよ』というメッセージ性すら勝手に感じ取ってしまったくらい。

息子も私も含め、この歌に一度でも触れてしまった人たちは、ちょうど関西人が「ホテルニューアワジ」や「関西電気保安協会」をメロディー付きでしか読めないのと同じように、もはや「ひい、ふう、みい……」をアゲアゲなラップ調でしか数えられないのではないだろうか。そして、8の後に「テレッテッテッテッテテテ……」という長いタメをはさまずには10にたどり着けないのではないかと思う。

「ひい、ふう、みい……」の数え方って、今も小学校などで習うのかな。息子が成長してこの数え方に出会うことがあるのか分からないが、もしひょっこりそんな機会があれば、どんなリズムで10まで数え上げるのか今から楽しみだ。


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