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心に毒針を隠し持って

私は頑固だ。

「あなたはどんな人ですか?」と問われれば真っ先に「頑固な人です」と答えるくらいには頑固だ。かなり人の意見を聞けるようになったとは思うが、ダメ出しをされることはものすごく苦手だし、自分が納得できない結論が下されたときにしつこく食い下がってしまう癖はまだまだ健在である。

そして、おそらくこだわりも強い方だ。歳を重ねるたび、「これは嫌だ、許せない」という境界線がいたるところに存在しているのを自覚する。仲の良い人の何気ない行動が気にかかって必死で忘れようとしたり、外出中に出会ったちょっと嫌なことが一日中頭から離れなかったりする。

そんな私は、きっと人一倍わがままでめんどくさい人だ。でも、わがままでめんどくさい人として生きていきたいわけではない。できるだけ迷惑をかけず、イライラもせず、人に優しく生きていたい。

だから、基本的にはひとりで過ごし、それ以外は薄くて厚いフィルターをかけて人と接するようになった。お互いの嫌なところもあまり目につかない、優しくできる距離感で。大丈夫かもって人は、少しずつ少しずつフィルターの中に迎え入れて。

そんなスタンスが社会に通用するのかはわからないが、そんなふうに過ごすようになった大学入学後、かなり生きやすくなった。

高校時代までは、とにかくおおらかになろう、来てくれた人全員と仲良くしようと頑張ってみたこともあった。その結果舐められて酷いことを言われて傷ついたり、初対面をピークに徐々に上手く話せなくなったりして、自分は本当の意味でおおらかにはなれないんだと気づかされて今がある。
大学に入ってから深い話ができる友だちができて、頑固さやこだわりの強さも自分の個性であり魅力だと思えるようにもなった。

心にある毒針はたぶんもう捨てられない。だから、誰にも見せることなく大事に持っておこうと思う。誰かを傷つけるためでも自分を押し通すためでもなく、ただ自分が優しく自分らしくあり続けるために。

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