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聞こえのフォローを「弁当あっためてください」状態にする!

みなさんこんにちは!
岩尾です。

昨日は難聴のイメージという話をしました。
先人の方々のご尽力で理解は拡がってきているのですが、それでもまだまだスタートラインには並べていない状況です。
ですので、
かけはしが何をしているのか?
何を目指しているのか?
という部分を今日は話します。



1.難聴がわかるアニメ「なんちょうなんなん」で、難聴理解を拡げる


まずは知ってもらうことです。

僕もそうでしたが、難聴にまつわることは、関係しないとわかりませんし、聞こえる人間からすると、よほど想像しないと気づかないこともあります。
なので、知らなくて当然です。

ただ、知らないだけではなく、「誤解」が定着している部分があります。
ここは広く知ってもらって、そうじゃないんですよ。本当はこうなんですよということを伝えたいです。

そして、「難聴って大変なんですよ」だけではなく、
「だから、こうしてもらえると助かります!」
という部分を伝えることを大切にしています。

具体的にどうやって知ってもらっているかといますと、2年前にクラウドファンディングを成立させて創りました
難聴がわかるアニメ「なんちょうなんなん」
これをYoutubeにアップしていまして、毎月3日はなんちょうなんなんデー!として、SNSでみんなでシェアしましょうという日を作って拡げていっているところです。

現在、4万2千回視聴されていまして、うちのような小さな団体発としたら多いのですが、まだまだ難聴理解を拡げる上では足りません。
もっともっと拡げる方法を考えているところです。

そして、この動画を見るだけでは、なかなか行動にまで移しづらいケースが多いと思いますので、このアニメを使った講座をやっています。
アニメで知ろう!難聴講座
これを、幼稚園、小学校、中学校、公民館などでやらせていただいています。
高校や企業でもやれますが、まだ実績はありません。

あと、難聴落語もやっています。
難聴をテーマにした創作落語を、今年度から公民館でやらせていただいています。

2022年度から始めまして、2022年度は29回。
2023年度は、依頼を頂いている分で28回。
今年度50回を目指していますが、この時期で28回だと少し厳しいなという状況です。

ただ、今年は県外にも呼んでいただいたり、少しずつ広がりはできていますので、もっと多くの機会を作っていきたいと思っています。


2.聞こえのフォローのお願いを拡げる


「聞こえないから字で書いてください」
「聞こえないので、静かな場所で話させてください」
「聞こえないので、もう少しゆっくり話してください」
「・・・・・・」

聞こえないのでこうしてほしいというフォローさえあれば、聞こえにくくてもいろんなコミュニケーションはできます。

ただ、このフォローのお願いを言いにくい人も多いです。

頼む方としても、「面倒だろうな」という気もちがあってなかなか言えないケースもあります。
また、頼むけど、いつも嫌な顔をされたり、やってくれなかったりというのもあるので、そうなると、お願いするのを諦めてしまうこともあります。

悪循環なんですね。

よく当事者側から言われることで、
「自分だけ(自分の子どもだけ)特別扱いしてもらうのは気が引ける」
ということがあります。

でも、特別扱いではないんです。

あくまで、スタートラインに並ぶためのフォローのお願いなんです。
なので、ごく自然で普通のことなんです。

この文化を双方ともに浸透させたいと思っています。

それにはどうすればいいのか?
まずはできる人が、お願いをしていくことかなと思っています。

学校や職場、お店なんかでも、言われなければわかりません。
でも言っても、浸透されてなければ「面倒だ」とやってくれないケースもあります。
でも、無茶を言ってるわけではありません。
自然で普通で正当なことです。
慣れてないので今は反応が悪いだけなんです。

だから、繰り返しお願いして、それが普通にことなんだということに持っていきたいと思っています。

これは、やる方はきつい面はあります。
何度も何度もやって、それでもずっと嫌な顔をされれば諦めてしまいますよね。

だからこそ、僕は当事者の親という立場なので、少し言いやすい面もありますし、家族会もやっていますので、そういう立場でも言えます。

面倒なものを無理やり押し付けるのではなく、やりやすい方法を一緒に考えながら、自然で正当なことなんだというところに持っていきたいと思っています。

その聞こえのフォローを誰にでもやりやすい9つの方法として提唱しているのが、プラス1コミュニケーションです。

誰にでも簡単にできる小さな寄り添い(親切)を一つ加えることで、
聞こえにくくても読み取りやすくなるコミュニケーションです。

聞こえはいくら頑張っても良くなりません。
でも、双方の協力とちょっとした工夫で読みとりやすくすることはできます。

それがプラス1コミュニケーションです。

このプラス1コミュニケーションを伝える講座もやっていますし、プラス1を仕事で使えるようにする講座(有料講座)もやっています。

お店の人たちがプラス1をできるようになれば、難聴の人もお店を利用しやすくなります。

実は、難聴の人たちは、お店を利用するのに非常に気を遣う部分があります。
聞こえのフォローをしてもらえなければ、サービスを利用しづらいからです。

しかし、実は聞こえる人でも、言葉が聞き取りにくくて困っている人は多くいるんです!

これは、かけはしが最近調査した結果ですが、62%の方が、買い物などで言葉が聞き取りにくくて困ったことがあると答えています。

そして、マスクや透明シートがなくても困ったという人が52%います。
結構、多くの人が言葉の聞き取りで困っているということがわかりました。

だからこそ、プラス1コミュニケーションをもっともっと拡げていければ、難聴者だけでなく、誰にでも過ごしやすくなりますよね。

これも拡げていきたいと思っています。

プラス1などやりやすいものを伝えて、フォローをお願いする。
大人でしたら自分でやれるようにしていく。
かけはしでは、プラス1コミュニケーションを全国へ日常へ広げよう!という仲間、プラス1クルーも作っていまして、毎週1回メルマガを発行して情報を共有しています。
そういう情報共有から、フォローを自然にお願いできることを増やしていきたいと思っています。

あとは、子どもはなかなか自分から言えない部分があります。
なので、未就学児や小学生、中学生の親御さんとも連携して、フォローのお願いを根付かせることもやっています。

これも今のところ情報共有や、保護者向けセミナーだけなのですが、事例紹介や、もっと別なことも考えながら、子どものためにも、フォローを言いやすい文化をつくっていきたいと思っています。


3.聞こえのフォローツールを身近なものにする


最近は便利なITツールも増えています。
もちろん、完璧ではないですし、課題も多いですが、そういうITツールや、便利なシステムなどをもっと知ってもらって、身近にあるものにしていきたいと思っています。

僕は、難聴落語をするときに、音声文字変換アプリを使った字幕をつけています。

本当は、この字幕アプリ、誤変換が多いので、修正する人をつけたり、落語などある程度話すことが決まっていれば、事前に文字を入力しておいて出していくという方法もありますが、人手が足りずにできていません。

ここは何とかやっていかなければと思っていますが、セミナーでは僕は字幕を出していませんでした。

と言いますのが、セミナーではスライドを使いますので、ここで字幕をつけると、プロジェクターやスクリーンがもう1セット余分に必要となるんです。
それはきついだろうなと思って、言いにくくて言ってなかったんです。

まさにこれなんですよね。
「言いにくい」

でも、ある公民館さんが、つけたいと言ってくれて「ハッ」としました。

僕の立場で言えなきゃ、参加者さんはもっと言いにくい。
無理矢理やってもらうというわけでなく、可能であればということでお願いすることはやってみようと、最近、セミナーでもお願いしてみることを増やしてきました。

公民館では、プロジェクターが余分にあることは少ないかもしれませんが、テレビモニターがあるんですね。
後ろの方からは視力が悪ければちょっと見にくいですが、前の方ならわかります。
こういうのも使えますね。

やはり、言わなければ進みません。
言ってみると、やれる方法は出てきます。

この字幕アプリ、使うと、やはり驚かれる方いますね。
そして、聞こえる人は、こういうものを知っていることは少ないですので、知ってもらうにもいいことだと思っています。

あとは、要約筆記やノートテイク、パソコンテイクですね。

これは地域ごとに、発達している地域と発達していない地域にわかれます。

でも、どこの地域でもあるはずです。
ただ、有料なので使いづらいところもありますが、地域によっては自治体負担で使えるところもあります。

こういうのも、こちらがお願いしていかなければ活発でない地域はいつまでも使われないままです。

学校でももちろん使えるのですが、地域によっては全く使ってないところもあります。
もちろん、毎日使うわけではありません。
昔の音の悪いビデオ教材だと音をMAXにしても聞こえないし、アプリでも言葉を拾えません。

観劇などになると、バックに音楽が入ると、ワイヤレスマイクでも言葉がわからないし、字幕アプリではどうしても言葉が遅れたり誤変換だらけになります。

おそらくセリフがあるものは、事前に文字起こしも可能です。
でも、手間だろうなと思うと、頼みにくいわけです。

ただ、これは趣味ではなく、学校の授業の一環だとしたら、普通に考えればやるべきだと思うんです。
もちろん、上から目線でやれよ!と言うつもりはないですが、こちらがしっかりとお願しないと学校も「もういいや」となるでしょう。

でも、ここをしっかりやりとりしていいものが実現できれば、後の子たちも助かります。
他の地域も、こういう事例をもって助かる子たちは増えます。

こういうことを身近にしていきたいんです。
劇団の方にしても、一度文字起こししていればまた使えますし、それを売りにもできるはずで、一度ちょっと手間はかかりますけど、双方にとっていいことでもあると思います。

とはいえ、最初はやはり言いにくい面はありますし、言われた方も、そんな面倒なことができるか!と思うかもしれません。

でも、ここをコンビニ行って、「弁当あっためてください」と言う感覚ぐらいにしたいんです。
だって、スタートラインに立つための合理的配慮なので、本来そうなんですよね。
ただ、手間が大きくかかるので、そこを何とかいい方法見つけて弁当あっためて状態にしたいと思っています。

何なら、文字起こし僕が手伝ってもいいので、まずは実現させていきたいと思っています。


4.デフスポーツで難聴を知ってもらう


ご縁がありまして、僕はデフスポーツのトップアスリートと関わらせてもらうことが結構ありました。

ですので、デフスポーツから難聴のことを知ってもらうという活動もやっています。

デフスポーツというのは、聞こえない人たちで行うスポーツです。

特に、2025年は、聞こえないアスリートのためのオリンピック、デフリンピックが東京で開催されます!
これは、デフスポーツを知ってもらう、難聴を知ってもらう、最大のチャンスでもあります。

ところが、デフリンピックの認知度はなんと16%!
パラリンピックは98%と言いますから、ほとんど知られていないわけです。

でも、デフスポーツ、日本はすごく頑張っています!
何と、デフサッカーのW杯が9月にあったのですが、快進撃の準優勝です!

デフサッカーの日本代表キャプテンは、実は友人でして、かけはしやそらいろに来てもらって何度か話もしてもらっていまして、本当に身近なので、9月のW杯は燃えました(笑)!

今週末は、かけはしのイベントで、聞こえない人たちの陸上競技、スタートランプ体験会というものも実施します!

こういう体験会を通して、デフスポーツや難聴について知ってもらうということもやっています。


5.難聴者と企業双方の発展を創る


これは、僕の中で非常に大きなものです。
と言いますのが、僕がもともと、キャリア支援・就職支援を専門としていますので、やはり気になり調べたところ、難聴者に任せたい仕事の51%が補助業務・軽作業・ライン作業といったものでした。

これは、独自に取ったアンケートで、母数が30社ちょっとぐらいの中ですので傾向とまでは言えませんが、全国の求人を見ると、おそらく数字的にもこうだろうという予想です。

補助業務が好きならそれでいいのですが、当然ですが、中にはもっと別の仕事がしたい人もいます。

何より、難聴者の聞こえないがゆえに発達した力は、いろんな職種で大いに活かせるんです。
でも、企業側も「できない」と思っているわけですね。

非常にもったいない!!

意思疎通さえできればいいんですよね。
聞こえないからコミュニケーションしにくいでしょう。
コミュニケーション取らない仕事がいいでしょう。
というイメージが多く広がっています。

でも、今はITツールも充実してますし、プラス1コミュニケーションもありますし、双方の協力とちょっとした工夫さえあれば意思疎通はできるんです。

なので、これを双方に理解してもらって、もっと難聴者の職種を拡げ、難聴者本人、企業双方の発展をつくっていきたいと思っています。

現在、難聴者のための就職支援セミナーをオンラインでやっているところです。
これで、本人たちのキャリア観を醸成して、実際に働く段階になった時に必要なことを身に付けていきます。

来年1月には大学生向けも開講予定です。

ところが、企業に対しては、なかなかやりとりができていません。
アプローチはしているものの、なかなかまだ企業の中でコミュニケーション環境を整えるコンサルや、難聴者の受入れ態勢構築セミナーなどは実現できていません。

でも、今からかけはしの就職セミナーを受けた難聴者が増えていきます。
このキャリア観を身に付けて、自分に必要なフォローを把握した、聞こえないからこそ突出した力をもった人財を紹介することができます。

これは、人材紹介ではありません。
なので、費用は発生しません。
紹介して、面接して、よかったら採用すればいいというだけの採用です。

その代わり、もし採用したなら、コミュニケーション環境を整えるコンサルに1年間は入らせていただければと思っています。
人材紹介の成功報酬よりは全然安いです。
採用コストも大きく下げることができます。

ぜひ、難聴者も能力を自社の発展に活かしたいという企業様いらっしゃいましたら、連絡をください。


ザっと、今、かけはしが目指していることを書きました。
もちろん、難聴者が過ごしやすい社会を目指してのことですが、誰もが過ごしやすくなる面もあります。

また、日本では難聴者は10人に1人、65歳以上では4人に1人、75歳以上では3人に1人です。
誰もがなり得るものです。

誰もがなり得るものなのに、あまり知られてないものが難聴です。
ですので、自分の人生のためにも、家族のためにも、難聴のことを知っておくということは、非常に大切で意義のあることだと思っています。

企業の方は、ぜひ、難聴者の採用やコミュニケーション環境を整えることにご連絡をください。

個人の方は、この活動に共感いただけましたら、ぜひ、ご寄付でのサポートをお願いします。
難聴者のための就職支援セミナー、学校の子ども向け難聴講座は無料で行っていますため、ご寄付を頂きながら収益事業と併せて事業を進めています。
収益事業もまだなかなか広がってなく、個人の方からのサポートで何とか踏ん張ってやっているところです。
大切に使わせていただきますので、よろしければクラウドファンディングページご覧ください。


言葉のかけはしの記事、活動に共感いただきましたら、ぜひ、サポートをお願いします! いただいたサポートは、難聴の啓発活動に使わせていただきます。 難聴の子どもたち、難聴者と企業双方の発展、そして聞こえの共生社会の実現のため、どうぞよろしくお願いします!