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日本の聴覚障がい認定基準がいかに厳し過ぎるかをデータで見る

皆さん、こんにちは。岩尾です。

今日は、日本の聴覚障がいの認定基準がいかに厳し過ぎるかということを、データを使って見ていきたいと思います。

聴覚障害認定基準と音の大きさの倍率の関係

まず、水色のグラフが、各国の聴覚障がいの認定基準です。
聞こえは、dBという単位が使われていて、若い聞こえる人たちは、0dBが聞こえています。

デンマークやアメリカでは、20dB、30dBで、聴覚障がいの認定が出るようです。

WHOが推奨しているのが、40dBを超えたら、常時補聴器を装用しましょうということです。

つまり、このレベルで認定をして、何らかの補助を国がしていくことが望ましいということですね。
スウェーデンなどが、この基準です。

で、日本はというと・・・・・・・・・

何と70dB!

しかも、両耳とも70dBを超えてないと認定されません。
(足して140dB以上あれば認定される場合もあります)

これがいかに厳しいかを音の大きさで見てみたのが、下の赤いグラフです。

若い聞こえる人たちの0dBを1としたときの音の大きさを見ると、
25dBが18倍。
40dBが100倍です。

音の大きさは、対数で増えていきます。

そして、70dBは、何と3,000倍です!

当たり前ですが、69dBなら聞こえるかというと、聞こえるわけがありません。

WHO基準の40dBでも、非常に聞こえにくいです。
明らかに、日本の認定基準はおかしいと言えます。

これについては、デシベルダウン運動というのを昔からやってくれている団体さんがいますが、なかなか変わらない状況です。

では、認定できなかったら何が困るかと言いますと、障がい認定がされなければ、補助金が使えなくなります。

もちろん、各自治体の裁量で、一部障がい認定がなくてもいただける補助金はありますが、フルでは利用できません。

そしてもう一つ。
認定基準が高いために、基準に満たない人たちは、補聴器をつけようとは思わない人が大半になっているような気がします。

補聴器をつければ、聞こえを確保できることもあります。
補聴器などをつけなければ、手話という選択肢もあります。

認定されないと、そういう選択を考える機会がなくなりがちで、人知れず苦労することにもなりかねません。

実際に、他国と比べて、日本の補聴器装用者の数は、かなり低いです。

下記が、日本補聴器工業会さんが調査したデータですが、自分は難聴だと思っている人でも、日本では14%しか補聴器をつけてないようです。
これはまさに、認定基準が高すぎるゆえんでしょう。

補聴器所有率2012

日本では、約30万人の難聴者がいるようです。
これは、認定された人ですので、両耳70dB以上の人たちですね。

当然、69dB以下の難聴者は数多くいるわけで、推定では、国際基準に照らし合わせると、600万人はいるだろうと言われています。
だから、なかなか認定基準が下がらないというのもあるのでしょう。これだけ増えたら、財源の確保が難しいとか言っているのだと思います。

難聴者数

しかし、財源は本当は確保できるんですよね。
なかなか財務省は動かないかもしれませんが。

これは、必要な財源だと強く思います。
生活のスタートラインに立つために、絶対的に必要な財源のはずです。

あぶれてしまっている570万人の難聴者のためにも、せめてWHO基準に見直してほしいものです。

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