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ダメな天才のトコトンダメな人生は、切なく、愛おしい。映画録#02

男として最低。盗癖があり、人としてもどーしょーもない、天才ギタリストのエミット・レイが主人公「ギター弾きの恋」

好き嫌いがとーっても分かれる、ウディ・アレン作品。「ギター弾きの恋」は、わたしの中で、1位・2位を争うのである。

ウディ・アレンは好きですか?

わたしはウディ・アレンの作品が大好きなのだ。エンタメ界からは名前が消えつつあり、淋しい。なぜ消えちゃったかというところは、世間は目をつむれないのかもしれないけど、ウディ・アレンの描く人々がいとおしくて仕方がない。

ウディ・アレンの映画は心臓にやさしい。びくっとしたり、ハラハラ・ドキドキしないで済む。ときにゲラゲラと笑わせてくれる。

大きな感情の揺れはないのに、じわじわと、あとから噛みしめるようにやってくるせつなさや、やさしさや、心の闇などなど。淡々と日常が描かれているのかと思って観ていると押し寄せる、さまざまな言葉にするのが難しい感情。

強烈な色や味ではない。パステルカラーでいろんな味のラムネを食べているような微妙な違い。あなたは本当は日本人なんじゃなかろうか、という繊細な感情の移り変わりを味わうことができる、ウディ・アレンの作品が好き。

さて、「ギター弾きの恋」の大好きポイントに戻ろう。どーしょーもない、天才ギタリスト、エミット・レイを演じるのは、ショーン・ペン。

わたしはこの作品でショーン・ペンを知ったのだが、のちの「ミスティック・リバー」「アイ・アム・サム」や「ミルク」でのショーン・ペンたるや…。

いやぁ。この人もすごい人なのだ。(語彙力なさ過ぎてすみません……そして、誰目線……)

そして、エミットの恋人役、ハッティを演じるのは、サマンサ・モートン。この人もすごいのだ。一言もセリフが無いのに、顔の表情やしぐさ、からだの動きで全部をものがたる。

ハッティは、エミットが大好きなのだ。見てくださったら分かるのだが、かわいくてかわいくて、仕方無いのだ。何度か出てくる"もぐもぐ"シーンは心癒される。思い出すだけで、頬がほころぶ。

サマンサ・モートンは、同じくヒロイン役のユマ・サーマンや、ウディ・アレンが大好きなスカーレット・ヨハンソンのように華があるわけではない。背もそんなに高くなく、ぽっちゃりとした、とても親しみを覚える女優さんなのだが、この人もどんな役でもやっている、すごい。

ウディ・アレンの作品に出ている俳優さんはみんなすごいのだが、このショーン・ペンとサマンサ・モートンの組み合わせが、まず、すごい。ごいごいすー。(とことん語彙力崩壊中)

そして、観終わったあとにくる、「男って、ほんとに……」感。泣いた。

情けなくて、切なくて、愛おしい。いとしさと、せつなさと、こころ強さと、あ、いや、こころ強さはないか。

そして、エミット・レイが奏でるギターの音。美しい。

昔、とあるバーでこの映画のサントラがかかっていて、嬉しくて鼻血が出そうになった。

世の中にある全ての映画の中で、わたしが出逢える映画って、そんなに多くはないんだろうと思う。この作品に出逢えてよかったよかった^^


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