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「死」があまりにも身近な世界

1話だけ読んだことがあった。

不思議な雰囲気の物語だった。

身寄りのない子供を受け入れ、戦争用の魔術兵器へと育て上げる「学校」。ここで暮らす子供たちにとって人の死はあまりにも身近で、それを悲しむことすらままならないのが当たり前の日常である。

参照 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

知人から3巻まで一気に借りた。
表紙の絵がまず綺麗で。
涙腺が弱い人は気をつけてねと
言われているのを読みたい気持ちが
先行してしまって電車の中で読んでしまった。


※以下ネタバレを含む可能性があります。
※1話までのネタバレを含んでいます。


【設定】
戦争のために鍛え上げられた少年少女たち。
その環境下がすでに悲しさしか生じなかった。

最初の話で主人公、シーアの同室の子が
亡くなってしまっている。

同室の子が亡くなる経験なんて在学中
普通なら考えられない。
しかし彼女たちの周りには
すぐそばにいつでも「死」が存在していて
戦争の収集がある度に
自分の番号が呼ばれないか
友達の番号が呼ばれないか
また最愛の人の番号が呼ばれないか
気がかりで
呼ばれたら自分を奮い立たせ戦地へ向かうか
はたまた相手の生存を願って夜を越えるしかない。

自分がここの生徒だったら…と思うと
震えが止まらなくなる。
自分が死ぬのも
誰かが死んでいくのを目の当たりにするのも
「普通」じゃ耐えられない。


【百合】
言わずもがなこの作品は百合だ。

シーアとミミの関係性も百合に近い。

他の生徒たちでも女の子同士の描写が度々見られる。

1番存在が大きいのは
セイランとアリであろう。

主人公のシーアとも仲が良く
物語の中心に彼女たちもいた。

しかし、この作品は闇(戦争)と光(百合)が
上手く混じり合っているような気がした。

6話まで閲覧できるので
ぜひ気になった方は読んで欲しい。






※以下は100%ネタバレを含みます。




【セイランとアリ】
3巻は本当に衝撃だった。

私たち読者も1番「死」を身近に感じた瞬間なのではないだろうか。

彼女たちの置かれている身近な死の感覚が
読者にも降り注いだような感覚だった。

セイランがただただ真っ直ぐで
素直で正義感の強い子だというのは
行動を見る限り分かっていて
同時に急に死んでしまわないだろうか
という気持ちも強かった。

他の人を庇って死にそうな。
そんな強さを感じたから。

彼女が自分のために薬を使っていたら…
なんて願っても仕方がないことは
読者も物語の彼女らも重々承知していて。

3巻本編までのお話で
セイランとアリのことは
そこまで詳しくは描かれてはいなかった。

しかし番外編で2人の思い出は
嫌というほど見せられた。

しかも主にアリ目線の。
彼女が手紙に込めた想い。
お互いが「強い」からこそ
「強く」見せているからこそ
引き止めることが出来なかった。
できる環境でもなかったけれど。

あんなに想い合っていても
現実は残酷で「死」が
身近に存在してしまっていた。

来世で彼女たちが幸せになれたら。
アリが無理せず笑えたら。

【最後に】
普通の感想みたいなnoteになってしまったが
彼女たちがに幸があらんことを切に願って
締めくくります。

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