スタッフコーデと今後のスタッフ像
店舗スタッフのDX
いろんなアパレルECサイトが導入しているスタッフコーデのコンテンツ。数年前に一気に拡がりました。このシステムの要点は、スタッフが着用したアイテムが、コーデを経由してECで売れたら、スタッフの成績としてカウントされるというところです。いわゆるオムニチャネル戦略の一環。店舗スタッフがECの販売をアシストするという流れ。店舗スタッフのDXとして話題になったシステムです。
ECと店舗の協業
EC創成期、ECは店舗の敵でした。売れ筋商品は吸い上げられるし、座っていて売上が上がると勘違いされていて、目の敵です。その中で、スタッフコーデは、ECへの協力を促す意味ではとても画期的で、私自身も導入の旗振り役をしたものです。コロナ禍で店舗にお客様が来づらい時期には、店舗スタッフにとっては、接客に代わる新しい業務として、一気に定着していった経緯もあります。EC側としては、とても助かるコンテンツであることは疑いようがない状況となっています。
業務としての負荷
コーデ写真を撮るのは、意外と時間も手間もかかるものです。コーデを考える。試着する、撮影場所に移動する、撮影する、また着替える。商品を戻す。写真を選ぶ、upする。完成度の高いコーデ写真を撮影するのには、意外と時間を要するものです。小一時間かかる場合もありますね。特に撮影場所を構えていない場合は、天候などにも左右されるなど不確定な要素も多いものです。コロナ禍が落ち着いて、お客様が戻ってきた状況下では、逆に現場の負担になっている面もあると感じています。故に、やらされている感。あまり新鮮味や完成度の高いコーデを見かけなくなっているのも事実、かつ、成績が欲しいばかりに、売れ筋商品をこぞって着用するというテクニックも多分に見受けられるのが残念ですね。
ショップスタッフの役割とは?
昔ながらの接客販売は、個人的にはとても好きな素敵な世界観ですが、学生さんたちと話してみても、そういった接客されて洋服を買っている原体験すらない子も多いのが実情です。ファッションを専門に学んでいる学生さんですらです。店舗で試着して、ECで購入する事もすでに浸透している状況でもあり、非接触の販売方法が推奨され補助金が下りてきている。わざわざ、お客様にウザがられるために、店頭にスタッフを配置しているのか?とおもえば、「いらっしゃいませ」も言われないという、口コミを書かれたり。スタッフの出来るサービスと、お客様のニーズが上手くマッチング出来ていない状況が、とても悩ましいのです。
ショップスタッフはメディアとして。
今後のショップスタッフの役割を再検討するタイミングです。すべてがショップスタッフの洋服が好きというモチベーションに企業側が依存しているからです。スタッフがマニュアルでやっている業務は、出来るだけデジタル化するべきですし、作業的な業務は分業していくべきです。スタッフの立ち位置はあくまで、ブランド、ショップを体現するメディアとして、少数精鋭で企業側がプロデュースする。冒頭のスタッフコーデも同様、スタッフの洋服が好きという嗜好に依存して、お任せしているだけでは、品質も担保できなければ、意図した販促にもならないはずです。店頭で着用する洋服も割引こそあれ、自費で購入する事を暗に強いていることも、お任せになる要因ではないでしょうか?しかも、確定申告してもなかなか必要経費としても認められないのが現状です。
今後のショップスタッフ像とは?
今までのショップスタッフの役割は、とにかく売上を上げていくことでした。その状況が変化しているにもかかわらず、いまだに企業側も新しいショップスタッフの役割を定義できず、スタッフコーデのような方法論に終始した方向性しか示せていない。個人の体での情報発信を店頭から行う。店舗にご来店されるお客様と、WEB上でのオーディエンスへ向けて。これがメインの業務、付随して接客を行う。それくらいドラスティックな再定義が必要ではないでしょうか?それが私の考える近い将来のショップスタッフ像です。
必要なのはマーケティングスキル
ユーザーが必要としている情報と、発信していく情報をマッチさせるスキル、これこそWEBマーケティング他ならない。となると、ショップスタッフの上位互換はWEBマーケッターということになる。WEBと店舗が近づいているからこそ、そっちは知らないというのは、もはや言い訳としても成り立たない。店頭で声出しや動的待機を教育しているのは、時代錯誤以外の何物でもないというのが結論と言えるだろう。
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