ショップスタッフのキャリアプランに明日はあるのか?
講師業での悩み
専門学校に通っている生徒さんは20歳前後、当たり前なんですが。専門学校の専攻は3コース。ショップスタッフを目指すコース、MD、バイヤーを目指すコース、製作に特化したコース。技術がある子たちは、パタンナーなどを目指し縫製関係へ。それ以外はほぼショップスタッフとして、入社もしくはアルバイトで所属する流れ。ファッション企業の入り口はほぼショップスタッフというのが現実。20歳前後の彼ら、彼女らにこの現実を乗り越えるスキルも、考え方も持ち合わせていない。やりたい事と出来る事のバランスが良くない。この入り口に生徒を誘導していくことに若干の後ろめたさも感じるのが、目下の悩みだ。
ショップスタッフというダンジョンは無理ゲーか?
バイヤー、MD職、企画職を目指す子たちが、果たしてそこまでたどり着けるのか?社会人としての最初のダンジョン「ショップスタッフ」をクリアし、希望職種までたどり着けるか?本来の能力とモノを売る能力には違いもあるはず、勇者と魔法使いくらいの。そして、そもそもショップスタッフを目指して入社した子たちが、社会人人生をショップスタッフとして全うすることができるのか?居なくはない、そういう人たちが若干名。だが、大量のゲームオーバー、脱落者の上に成り立つ現実であるという事です。
20年選手のスタッフ?
私自身もアパレル企業に25年勤務した。ショップスタッフとしては20年店頭に立っていた。かなりの大箱のショップだからこそ、続けてこれた。会社側も柔軟に制度や待遇を変えて長く在籍できるように考えてくれていた。だが、私も例外中の例外であることは確かです。25年在籍して、送り出した社員の数は数える事すらできない。ショップスタッフダンジョンのクリアには20年を要した。自ら望んでいた面もあるが、今また戻りたいかと言われれば、即刻遠慮したい。
店舗ビジネスの構造的宿命。
アパレルに限らず、店舗ビジネスは付加価値が現場でしか生まれない。が故に投資は現場へ集中するのは当然です。逆に店舗ビジネスで、どんどん本部が肥大していく企業の方が危ないという印象です。理想的な形はたくさんの店舗に小さな本部。となると、絶対的にショップスタッフに続く、次のダンジョンへの入り口は狭小にならざるを得ない。本部職に上がった人たちは、既得権益化して、自分の仕事を囲い出す、よって属人化し、よけに継承が難しくなるサイクル。本部スタッフになって5年でスパッと退職したのも、こういった流れに嫌気を感じた事が大きいです。つまり構造的にゲームオーバーを大量に生むのは必然と言えるでしょう。
ショップスタッフの市場価値の低さ。
となれば、異業種への転職という流れになりますが。ここでもう一つの課題が、労働市場での価値の低さ。ショップスタッフをやっていた経歴があまり評価されない。特にアパレルは経歴としては、価値が低いという現実です。転職自体は当たり前の世の中ですが、スムーズキャリアチェンジがしずらいところです。店舗という狭い世界にどっぷりと浸かっていればなおさら。転職もままならないのであれば、ぶら下がっておこうという無気力なスタッフを抱えるという悪循環にもなりうるわけです。
ショップスタッフにキャリアプランに明日はあるのか?
ここまで書いて、ショップスタッフになる事をあきらめる人もたくさんいるかもしれませ。これであきらめるのであれば、すでに時間の問題であるはずです。ネガティブな話ばかりしたい訳でありません。私自身、ショップスタッフであったことを後悔しているわけではありませんし。とても楽しい思い出ばかりです。たくさんのお客様との出会いもあったし、元々コミュ障の私が今も生きていられるのはこの経験があったからこそ。この課題に取り組みショップスタッフに価値向上を図りたい。その足がかりが、専門学校の講師業でもあります。
カギはリカレント教育
学び直しです。ショップスタッフが異業種でも活躍できるだけの素地を作っておく事。私のようにECへシフトすることも可能ですし、コミュケーション能力を活かして営業職へシフトすることも実は近道だったり。ショップスタッフがスキルがないわけではない。スキルを体系化してこういったことができますというポートフォリオを作れていないだけです。持っているものを正しく評価してもらう為の表現力が足りていないだけです。非言語も含めたコミュニケーション、傾聴スキル、交渉力、洞察力、マーケティング力など、実は店舗で日々行っている事はこれらたくさんのスキルに支えられているのです。また若くして店舗責任者に抜擢されることも多く、リーダーシップについても同年代よりは頭一つ抜けているはずなのです。現役ショップスタッフに学びの場を提供する。これを目指していく事が業界への恩返しだと考えています。
職種、職場の流動性の確保
企業側に頑張っていただきたい点は、本部の既得権益化を防ぐ事です。前に書いた通り、付加価値のほぼすべては店舗が生み出しています。そこには疑いの余地はないはずです。しかしながら本部スタッフの権限が強すぎる?もちろんコントロールが必要なので、権限は不可欠ですが。主従ではないはずです。そして本部こそジョブチェンジを頻繁に行う。属人化してしまうのは企業にとってもマイナス面が大きい。本部の仕組み化が何よりお店の活性につながります。本部と店舗を行ったり来たりという、キャリアに作り方も有効ではないでしょうか?
ニーズを知りたい。
とは言え。現役のショップスタッフさん達がどこまで危機感や、学習意欲を持っているのか?私の想いだけでは、ただの一人よがりですよね?専門学校での授業内容も含めて、ショップスタッフの市場価値を上げたい!究極の理想像は、フリーランスの販売員が高いフィーでオファーされるような仕組みと異業種へのジョブチェンジへの橋渡しが両立できれば。現役スタッフさんとつながっていきたいですね。以下のインスタアカウントでショップスタッフに向けて、朝礼のような情報発信を続けています。まだまだ、始めたばかりですが、全国のショップスタッフさんと連携して価値向上の足掛かりを作りたいと考えています。
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