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2月13日 僕のテストと平安の逃亡劇

 今日はテスト。高校生向けの方では、新共通テストを少し意識して、和歌の内容理解問題などを出題した。

昨日作った今日のテストの選択肢なんだか正解無い気がしてきた

 やったことのない問題を作るのは好きなんだけど、試験の直前には不安になる。
 確認したら多分大丈夫だった。出来は良くは無かった。

☆   ☆   ☆

 試験でズルをしては行けないけれど、実人生では連携プレーで急場を凌ぐこともあったようだ、平安時代。

 今夜は『金葉和歌集』の雑部を読んでいる。誰が詠んだかわからない573番歌の詞書に、なかなかダイナミックな連携プレーが記録されている。

 男のなかりける夜、こと人を局に入れたりけるに、もとの男詣で来合ひたりければ、騒ぎてかたはらの局の壁の崩れより潜り逃しやりて、またの日その逃したる局の主のがり、昨夜の壁こそ嬉しかりしか、など言ひつかはしたりければよめる

 恋人の訪れが無いと思った女性が別の男を部屋に招いていちゃいちゃしていたところ、意外にも恋人がやってきて間男と鉢合わせしそうになった。そこでわたわたしながら呼びこんだ男を、壁の崩れた部分から隣の部屋に逃した。次の日、その隣人に御礼の手紙を送ったところ、その返礼として和歌が詠まれた。

 という事情である。
 臨場感のある浮気の話だ。面白すぎる。なんでこんなものが勅撰和歌集に選ばれたのだろう。
 隣人さんの歌だけが残る。

寝ぬる夜の壁騒がしく見えしかど我がちがふればことなかりけり(読人不知)
寝静まった夜の
壁が何だか騒がしく
思われましたけれど
私がすれ違わせましたので
事なきを得ましたことですよ

 落ち着いた詠みぶりだ。ひょっとしたらこうした連携プレーは初めてでは無いのかもしれない。


 

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