《和歌日記》2021年1月10日
校庭に数センチほど雪が積もり、生徒が元気に走り回っていました。中には半袖短パンの生徒もいます。僕ら教員は暖かい職員室からそれを眺め、ちょっと呆れつつ「沖縄から来た生徒かもしれないね」なんて言ってました。沖縄からくる生徒の中には雪を見たことがない人も居るんです。
生まれて初めて実際の雪と出会う。それはどれほどの感動を伴うものなのでしょうか。想像してもピンときませんが、その感動を身体ぜんたいで味わっている現場に立ち会えるというのも、なかなかに詩的な体験だと思うのです。
濡れ濡れも 猶狩り行かん はし鷹の うはばの雪を うち払ひつつ
(金葉和歌集二八一 源道済)
濡れるけれど 気にせず行こう はし鷹の 上羽の雪を 払い除けつつ
沖縄出身?の生徒と同じく雪の冷たさを気にしない風ですが、こちらは雪のベテランでしょうか。
狩人たるもの、多少の雪なんぞに構っていられません。でも自分は濡れても獲物を捕らえる鷹の上羽の雪を払います。鷹の羽が濡れてしまうと飛ぶのに支障をきたすかもしれないからですね。
この気持ちの昂りは、狩がエンターテインメントであるからでしょう。現代で言えば、多少の天候の悪さは気にせず秘境へ赴く釣りキチの心情に近いのかもしれません。
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